起業すると決めて、何をやろうか、どういうビジネスで勝負しようかとあれこれ悩むのは、本来であれば大変楽しいプロセスのはずです。
ただ、あまりにもこのプロセスで悩み過ぎて苦しくなったり、なかなか走り出せないという落ち着かない状況が続いて、いたずらに時間の経過を許してしまったりするということが、そもそも本末転倒であるというのは以前にも言及した通りです。
※参考 →「どういう舞台で勝負するのか(その2)」 このページにある、以下の一節に、特にご注目ください。 「反面、後から振り返ってみて、実はあれこれ悩んだこの期間が一番楽しかったという起業家の方もいらっしゃいます。 確かに、起業の舞台が定まらないという不安定な状況はとかくネガティブな思考になりがちではありますが、その一方で、あえてポジティブな方向に目を向け、起業後の可能性に胸躍らせて、夢がどんどん膨らんでいくのは、それだけでワクワクする体験ではあります。 成功した自分を想像するのは、この上ない幸せな時間であるという起業家の方も、きっと多くいらっしゃることでしょう。 まさにそれが起業の醍醐味といっても過言ではないかもしれません。」
実は、起業して走り始めてからは特に、ここに登場した「ワクワク」が、非常に大事なのです。
貴重な時間を投資する目的
起業し、自らビジネスを構築し、それを推進し、日々収益を上げるべく努力していくというのは、気力・体力・精神力・集中力…などなど、ともかく相当なエネルギーを要するものです。
一旦走り始めたら最後、生半可な覚悟では、到底成功など望むべくもありません。
一度しかない人生において、決して小さくはないリスクを伴いつつ、全霊を傾けてその貴重な時間を投資する訳ですから、それ相応の覚悟と、目的が必要な訳です。
そしてその目的は、それに向かって走り続けることが、自らにとってワクワクするものでなくてはなりません。
そうでないと、長く継続することなど非常に困難だからです。
ホリエモンに学ぶ
起業家・実業家として有名なホリエモンこと堀江貴文さんは、起業しても成功出来ない人に見られる原因として、「睡眠時間以外のほぼすべてを仕事に費やしていない」というようなことをおっしゃっています。
ご本人自身、起業して間もない頃は、移動時間が勿体ないので会社に寝泊まりしたり、食事を買いに行く時間すら勿体ないので宅配サービスを利用して会社に持ってきてもらい、仕事しながら食べたりと、かなりストイックな生活をしていたそうです。
要するにご本人がおっしゃる通り、睡眠時間以外はほぼ仕事。
そして、土日祝日はもちろん、盆も正月も一切関係なく、とにかく仕事一色。
「これを苦しいと思う人は(起業に)向いていない」とまで言い切ります。
仕事に集中していることが何よりも好きで、新しい技術を開発したりすることが何よりも面白かったんだそうです。
要するに、ここまでストイックな生活をしながらも、常にワクワクしていたんですよね。
お金だけが目的では厳しいのか
さて、起業にあたっては、お金を稼ぐ以外の目的がないと厳しい、といったことがよく言われます。
お金だけが目的では、いつかやりがいや意義を見失って、続けることが出来なくなるという訳です。
また、そもそもお金だけを目的とした事業で継続的に儲けることなど出来ないといった、辛辣な意見もあります。
ただ私は、「とにかくお金を稼ぎたい!金持ちになりたい!」といったことが目的であっても、全く構わないと考えています。
※ちなみに、上で言及した堀江さんが、そうであるということを言いたい訳ではありません。 対談などで、ご本人は「事業の目的がお金儲けだったことはない」と明確に言い切っています。 念のため。
恐らく、お金を稼ぐ以外の目的がないと厳しいといった見解は、それでは日々の事業活動においてワクワク出来ないから、という理由が奥底にあるものではないかと推測します。
であれば、お金を稼ぐという目的であっても、常にワクワク出来るというのであれば、それで問題はないはずです。
要するに、すべてがお金を稼いで金持ちになるという目的に繋がっていると考えるだけで、どんなことでもワクワクしながらこなすことが出来る、というのであれば、それはそれで十分成り立つのではないでしょうか。
ワクワク出来るかどうかがカギ
つまりカギは、その目的を考えた時、そして自分が今それに向かっていると考えた時に、それだけでワクワク出来るかどうか、なのです。
ワクワクしつつ、起こり得るすべての負のファクターに対して耐えることが出来ればいいのです。
それに打ち勝つことが出来ればいいのです。
あるいは、負のファクターであっても、ワクワクすることによってそれを正のファクターに変えることが出来ればいいのです。
内容は何であれ、そういう揺るぎのない確固たる目的を持ち、それに向かって驀進することが出来れば、起業して成功する確率は飛躍的にアップするでしょう。
ワクワクしてこそ起業した意味がある
私は常々、起業のきっかけは何でもいいと思っています。
ただ、起業したら最後、そのきっかけを確固たる目的にまで昇華させなくてはなりません。
つまり、起業のきっかけはともかく、一旦走り始めてしまったら、走り続けるためのモチベーションを維持するために、確固たる目的がないと非常に厳しいということです。
そのモチベーションの源泉、目的を「確固たる」と言わしめる所以が、ワクワク出来るかどうかです。
逆に言えば、ワクワク出来なければ、起業した意味がありません。
それくらい、ワクワクすることを大事に考えて間違いはないのです。