起業家が長時間働くのは必然か

前回、ホリエモンこと堀江貴文さんが、起業して成功出来ないのは、睡眠時間以外のほぼすべてを仕事に費やしていないから、との見解をお持ちであるということをご紹介しました。

それと併せて、ご自身が実際に、起業当時は睡眠時間以外のほぼすべてを仕事に充てるという、非常にストイックな生活をされていた様子にも触れました。

※参考
→「ワクワクするということ

起業=自由気ままな生活?

組織や時間に縛られることのない、自由気ままな生活を送ることを夢見て、起業する方は多いでしょう。

特に起業直後は、すべての意思決定権が自分自身にあるため、それ故の責任感やプレッシャーと引き換えに、ある種の自由な生活が手に入れられるのは、確かに間違いありません。

ただ、自由気ままに生活出来るということと、自由気ままにお金を稼げるということとは、基本的には全く違うのです。

言い換えれば、一般的に想像されるような自由気ままな生活というものと、厳しいビジネスの世界で生き抜いていくということは、基本的には相反するものであるということです。

このことだけは、絶対に頭に叩き込んでおいたほうが良いかと思います。

最初から自由気ままだった訳ではない

「基本的には」という言葉をあえて付加したのは、特にネットビジネスの分野などにおいて、確かに、好きな時に起きて、好きな時に仕事をして、好きな時に眠って、という自由気ままな生活を送りながらも、それなりのお金を稼いでいるという人が、少なからず存在するからです。

ですが、そういう人であっても、全くの起業当初から、自由気ままな生活を送れていたという訳ではない、ということに留意してください。

そういう状態になるまでには、それ相応の時間や労力を仕事に費やし、相当な努力と苦労を経験しているはずなのです。

その間には、幾多の眠れない夜もあったかもしれないのです。

結果としてその先に、自由気ままな生活があった、ということでしかないのです。

そして今の時代、その自由気ままな生活がいつまで続くのかは、本人を含めて誰にも分からないのです。

あの人だって…きっと

例えば、当サイトでも取り上げたことがある、「秒速で1億円稼ぐ男」こと与沢翼さん

一時期、自由で豪快な生活をしていた彼を、訝しんだり揶揄したりする人は多かったのですが、恐らく彼も、そういう自由な生活をする前に、訝しんだり揶揄したりする人たちの数倍は働いていた時期があったはずなのです(そして、転落してしまったことで、自由な生活がいつまで続くのかは誰にも分からないということまで、身をもって証明してしまった訳ですが)。

※参考
→「転落からの再起。実際の事例から学ぶ

喜んで週80時間働けるか

アメリカの実業家・投資家であるロリ・グレイナーさんが言ったという、以下の言葉をご存知でしょうか。

「起業家は雇われて週40時間働くことを避けるために、喜んで週80時間働く。」

まさに、冒頭でも触れた堀江さんの見解と、相通じるものがあります。

ただ、週80時間だと、休日はなしで1日11~12時間、あるいは平日に16時間働いて土日はしっかり休む、といった計算になりますから、堀江さんに言わせれば「それでも甘い!」ということになるかもしれませんね(笑)。

また、現代世界で最高の起業家と言われ、革新的な電気自動車を開発・製造・販売しているテスラモーターズなどでCEOを努めているイーロン・マスクさんは、

「成果を出したければ週100時間働け。」

と、南カリフォルニア大学の卒業式におけるスピーチで語ったそうです。

これだと、休日はなしで1日14~15時間、あるいは平日に20時間働けば土日は休める、といった計算ですが、それでもまだ堀江さんは甘いと言うかもしれません(笑)。

先行きが不安で仕事をしてしまう

もちろん、週○○時間働けば絶対に成功する、といったことではないですし、時間と成果が必ずしも比例するものではありませんが、成功のためには、ことさら起業当初は、不眠不休で働くくらいの覚悟が必要ということでしょう(ただ、それで体を壊してしまっては元も子もありませんし、無理に睡眠時間を削ることは推奨しませんが…。睡眠時間については当サイトにて追々触れていきたいと思います)。

というより、実際は、寝たくても寝られない、眠りたくても眠れない、といった起業家の方が多いようです。

理由としては、ビジネスのアイデアが溢れて興奮してしまったり、何かとやることが多くて睡眠時間が取れなかったり、といったものもありますが、意外と多いのが、「先行きが不安で、とにかく何かをしていないと落ち着かないから」というものです。

週末起業といった副業ならいざ知らず、本業として覚悟を持って起業したのであれば、それはやむを得ないことです。

そう考えると、起業家が長時間働くのは、特に起業当初においては、必然であるのかもしれません。

必然ではあっても義務ではない

上で、特に起業当初においては、不眠不休で働くくらいの覚悟が必要であるといった旨、言及しました。

ただ、体を壊してしまっては元も子もないので、無理に睡眠時間を削ることは推奨しないとも…。

しかしながら、当記事(このページ)だけを読むと、80時間~100時間も働くためには、もはや睡眠時間を削るしかなく、結局はそうすること(睡眠時間を削ること)で長時間働くのを暗に勧めているように聴こえてしまうかもしれませんので、改めてここに別記事へのリンクを掲載しておきます。

※参考
→「起業家は睡眠をあなどることなかれ

↑このページでも触れていますが、要するに一言で言ってしまえば、結局は「睡眠」と「仕事の効率や生産性」のバランスを上手に取ることが、大事であるということではないでしょうか。

当サイトのスタンスとしては、決していたずらに長時間仕事を推奨するものではありません。

成功に近づくために、スポットを当てるべきは、決して「時間」ではないと考えているからです。

言い換えれば、長時間仕事をすることは、成功するための「十分条件」ではあっても、決して「必要条件」にはなり得ないのです。

重要なのは、いざとなったら文字通り寝食を忘れるくらいの勢いで、目的や目標達成のため一直線に突き進むという、その「魂」であるはずです。

その結果として、長時間に渡って仕事をすることになり、睡眠時間が減ってしまった…ということは、往々にしてあるのかもしれません。

すなわち、「必然」的に長時間仕事をすることはあっても、決してそれは「義務」としてやるものではないということです。

逆に言えば、義務感から長時間仕事をしたとしても、それによって望むような結果が生み出せるとは、決して限らないということなのです。

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