起業して成功し、世の中にその名を馳せている方々においては、数多くの共通点が挙げられるものですが、そのうちの一つに、ほぼ例外なく皆「読書家である」といった点があります。
ホリエモンこと堀江貴文さんが、証券取引法違反による刑務所暮らしの期間に、インターネットに繋げられないということもあって1,000冊の本を読んだと公言していることは有名です(文字通り「ネットがつながらなかったので仕方なく本を1,000冊読んで考えた」という、書き下ろしの書籍を出版していますね)。
仮釈放に至るまでの約1年9ヶ月という期間から計算すれば、だいたい平均して1ヶ月に50冊近くは読んでいたことになります。
それ以外にも、新聞や雑誌、プリントアウトされたブログやツイッターにも目を通していたというのですから、いやはや恐るべき消化量です。
ともあれ、堀江さんに限らず成功者は概ね共通して本をよく読んでいるものです。
枚挙に暇がないのですが、例えば、あのテスラモーターズのイーロン・マスクさんも、小さい頃から「異常なほどの読書家」だったそうです。
また日本では、サイバーエージェントの藤田晋さんも常々読書の必要性を説いており、超多忙な状況にも拘わらず毎月少なくとも10冊以上の本を読んでいるそうです。
さらに、日本の経営者の中でも最高峰として名高い楽天の三木谷浩史さんは、電子書籍端末の発売会見において、「様々な素晴らしい本との出会いにより自らの人格が形成された」との見解を述べています。
また、現代の子供や若者における読書量の減少を「国家的危機」とまで評し、「(その電子書籍端末により)日本や世界で読書革命を起こしたい」と述べ、多くの人の胸を打ちました。
本は決して効率的ではない
ところで、今なお進化を続けるGoogleなどの検索エンジンを利用し、自らが必要とする情報のみを容易に取得出来るインターネットによる情報収集に比べて、本というものはそれほど効率が良くありません。
これに関しては、実は先に言及した堀江さん自身も触れており、「(収監以前は)インターネットで効率よく情報を手にしていた。(中略)誰よりも効率的な情報収集こそが、“誰も手にできない未来”を自分のものにする方法なのだ。」「(本の)時間対効果はよくない」「(ハズレ本に当たった際の)時間的損失は計り知れない」などといった記述が、前掲の書き下ろし書籍でも見受けられます。
確かに、あまたの本の中からお目当ての1冊を探し出すのもさることながら、1冊の本においてでさえ、(目次などから推測は可能にせよ)効率的に取捨選択を行うというのはなかなか困難なことです。
それ故、結局は1冊丸ごと読まざるを得ないことも多く、読み終えて初めて時間を浪費したことに気付いて、途方に暮れるといったご経験は、誰もがおありなのではないでしょうか。
それでも起業家は本を読む
さて、それにも拘わらず、成功した起業家は何故読書家なのでしょうか?
それは、情報収集といった目的以外に、創造性の鍛錬や集中力・記憶力の向上、それらによる脳の活性化、気分転換やストレス発散など、起業家にとって副作用と呼ぶにはあまりにも重要で有意義過ぎる数々の効果が、本を読むことによって認められるからではないでしょうか。
つまり、初めは情報収集のみの目的で読書を始めたとしても、そういった効果によって自然とまた本を求めるようになるのです。
そしてそれらの効果は、本から得た情報を実際の行動に昇華する際にも、大いに役に立つものばかりなのです。
起業家の本能に目覚める
世界中を見渡しても、億万長者と呼ばれるような富裕層には、読書家が多いということがよく言われています。
世界長者番付の上位者において、9割近くがビジネス本などを1日30分以上読み、6割以上が移動時間にオーディオブックを聴いているというデータもあるそうです。
ともかく、起業家たるもの、成功のためには、時間がなくとも読書だけは怠らないことを強くオススメします。
そして、大事なのはそれを毎日続けること。
そのうちに、自ずから毎日何かしら本を読まないと気が済まないようになるかもしれませんが、もしかしたらそれこそが、起業家の本能というものなのかもしれません。
読書量と年収は正比例する?
ちなみに上で、世界長者番付の上位者においては、9割近くがビジネス本などを1日30分以上読むというデータがあることに触れましたが、日本でも、「読書量と年収は正比例する」というデータがあるようです。
これは、書籍にかける1ヶ月あたりのお金(月間購入費)を年収別にみると、年収の高い人ほどその金額も高くなるというもの。
例えば、年収800万円以上の人が月平均3,000円近く本を購入しているのに対し、年収400万円未満の人は、平均2,000円弱と、1.5倍程度の開きがあるようです。
ただしこれは、単純に「収入が多いから本にもお金をかけられるだけ」と捉えることも出来る上、購入費がイコール読書量であるとは限らないため、必ずしも読書に対する意欲や必要性を表す指標とはならず、あくまで参考程度に留めておくのが賢明なのかもしれません。
しかし、それでも多くの方の実感として、年収の高い人ほどよく本を読んでいるという傾向は、どうにも否定出来ないようです。
実際、さらに別のデータとして、30代で年収3,000万円を稼いでいる人は、普通の人(20代・30代のビジネスパーソンの平均)の38倍もの本を読むといった統計もあったりと、同様の傾向を示す情報には枚挙に暇がありません。
昨今では、とある人気お笑い芸人の小説が、芥川賞を受賞したことが大きな話題となりました。
私の周りの起業家の方々においては、「あそこまで話題になっていれば、読まない訳にはいかない」と、実際にその小説を購入し、読んでいるという方がほとんどです。
それは、そういったものに漏れなく触れておくことにより、世の中のトレンドや、社会全体の流れが感覚的に掴めるということと、決して無関係ではないでしょう。
ひいてはそういった努力の積み重ねが、間違いなく自らの事業や起業家としての判断にプラスの影響を及ぼしており、結果として年収も上がっていくという訳です。
そして、そうやって話題となっている本を読んでいるだけでも、必然的に読書量は相応なものになるはずなのです。
面白いのは、高年収であればあるほど、仕事が忙しくて本を読む時間などなかなか取れないのではないか、といったイメージがある中で、実際には低年収の人ほど「本を読む時間がない」と言っているというデータが存在すること。
また、高年収の人が本を選ぶ基準は「著者や作者」であり、低年収の人のそれは「本のタイトル」であるというデータもあるそうです。
あなたは、読む本をどのように選んでいますか?