改めて言うまでもないことかもしれませんが、起業家は健康であるべきです。
もちろん、起業家に限らず、サラリーマンであろうが主婦の方であろうが不摂生など体に悪いことは避け、健康であるに越したことはないのは当然のことなのですが、とりわけ起業家というものは、健康に対して極めて真摯に向き合っていかなければなりません。
すなわち、脱サラした方であれば、間違いなく、サラリーマン時代よりも、健康に気を遣ってしかるべきなのです。
サラリーマンは、あえて本人が意識することなくとも、健康保険証が漏れなく会社から交付されたり、万が一のことがあっても厚生年金などからそれなりの給付や保護を受けられたりします。
当然、起業家はそうはいきません。
これが健康であるべき理由の一つ…なのですが。
自らのダウンは事業のダウン
また、サラリーマンは、たとえ病気や体調不良で1日や2日休んだところで、(基本的には)有給休暇という名目により、収入が減ることはありません。
「いやいや、うちは厳しくて、理由はどうあれ休むなんてとんでもないし、そもそも有休は事前申請しか認められないから」といった会社にお勤めのサラリーマンの方も、もちろんいらっしゃるでしょう。
そういった方は、多少の体調不良くらいであれば、いつも無理して出社している…という状況かもしれません。
その結果、体調不良がたたって、顧客へのプレゼンテーションが上手くいかなかった…なんていうこともあるのではないでしょうか。
とはいえ、そんな場合でもその多くにおいて、普通はなんだかんだと上司や先輩がフォローし、守ってくれたりします。
一般的には、それこそが組織であり、会社であるはずだからです。
しかしながら、起業家には当然のことながら有給休暇などというものはなく、上司や先輩のフォローや擁護もありません。
特に起業当初であれば、自らのダウンは事業のダウンに100%等しいというケースも少なくないはずです。
この辺りは、以下のページでも述べた通りです。
※参考 →「自己管理を如何に行うか」 この中の「健康管理も重要な自己管理の一つ」の節で触れています。 起業家たるもの、自らの健康がBCP(事業継続計画)にも関わってくるのです。
これらももちろん、起業家が健康であるべき理由の一つ…なのですが。
不健康になっている暇などない
これまでの話は、起業を志した方であれば、最初からある程度分かっていることでしょう。
それらを十分覚悟の上で、起業に踏み切っている(あるいは踏み切ろうとしている)はずです。
冒頭で「改めて言うまでもないことかもしれない」などと回りくどい言い方をしながら、それでもあえてこの話題を取り上げたのは、実は、私が「起業家は健康であるべき」と考える一番の理由が、「起業家は極度の不安やストレスに対応しなくてはならない」から、ということであるからなのです。
それは、常人であれば容易に押し潰されてしまうような、凄まじく大きな不安かもしれません。
それは、常人であれば容易に壊れてしまうような、恐ろしく激しいストレスかもしれません。
要するに、普通の人のキャパシティを遥かに上回る、甚大な不安やストレスが襲い掛かってくるのです。
起業家は、これらに毅然と対応し、生き延びていかなければならないのです。
※参考 →「不安やストレスと上手に付き合う」
そのため、体だけは、ある程度良好なコンディションをキープしておかないと、不安やストレスと上手に付き合うことなど決して叶うものではないでしょう。
だからこそ、起業家は「健康であるべき」なのです。
というより、「健康でなくてはならない」と言うべきでしょう。
いや、もっと強い意味を込めて、「不健康になっている暇などない」と言い換えてもいいかもしれません。
それくらい、健康は大事だということを、常日頃から意識しておくべきではないでしょうか。
成功している起業家に、朝早く起きてジョギングをしたり、スポーツジムに足繁く通ったりといった方が少なくないのは、こういったことと決して無関係ではないと考えられます。
心のどこかで、「倒れる訳にはいかない」「体を強靭に保たなくてはならない」「健康を維持しなくてはならない」といった意識が、自然と働いているという方が多いのです。
睡眠とのバランス
ただこれは、やるべきことが膨大で、忙しすぎて時間のない起業家にとっては、決して簡単ではない問題です。
何故なら、健康を意識するということは、それと非常に関連が深い、睡眠の質や時間にも思慮を及ぼさざるを得ないからです。
これに関しては、「睡眠」と「仕事の効率や生産性」のバランスをうまく取るということに尽きますが、それは以下のページに詳しいので、ぜひご参照ください。
※参考 →「睡眠時間を削って仕事をすることが、起業成功のための必須要件か」 →「起業家は睡眠をあなどることなかれ」
膨大な仕事の遂行と、時間の確保、そして健康の維持…などなど。
ともすればお互いに相反するいくつものファクターを、どれも高いレベルで実現しなくてはならない…それが起業家なのかもしれませんね。