差別化、独自性、オリジナリティー…。
新たに事業を興す時、あるいは既存事業がうまくいっていない時など、これらの言葉に、起業家や経営者は振り回されがちです。
確かに、「もっと差別化を図れ」「独自性を追求しろ」「オリジナリティーが足りない」などといったセリフは、どこの企業や組織でも聞かれるものです。
そして世の中ではそれらが、顧客獲得や売上増加、ひいては事業成功のために、必須であるかのように言われているのも確かです。
そこで、無理にでも独自性やオリジナリティー(独創性)を打ち出し、差別化を図ろうと、関係者を巻き込んであれやこれやとアイデアを募り、自らのプロダクト(商品やサービス)を修正していきます。
本来、ビジネスにおいては、シンプルなものが最も市場に受け入れられやすく、結果が出やすいのです。
当然ですが、人は生来、分かりやすいものを求めるからです。
無理にでも差別化や独自性の追求を図ろうとする動きは、ともすればプロダクトを複雑化し、こういった市場論理や人間の性質に真っ向から相反する事態に発展しかねません。
皮肉なことですが、要するに、そうやって生まれたプロダクトは、顧客や市場に受け入れられないことも多いのです。
無理な差別化は弊害を生む
念のため言っておきますと、当ページの趣旨は、差別化や独自性の追求を、決して否定するものではありません。
あれこれ考え、試行錯誤しながらプロダクトを修正していくことだって、もちろん必要なことです。
ただ、起業家や経営者が、差別化を図ったり独自性を追求したりすることだけに躍起になることで、うまくいっているケースを私はあまり見たことがありません。
つまり、差別化や独自性の追求は、無理をしてやるものではないと思っているのです。
あくまで顧客や市場の課題や潜在的な要求に応える形で自然に生まれるのが理想であって、取って付けたようにやるものではないのです。
繰り返しになりますが、そうやって生み出された差別化や独自性は、顧客や市場に受け入れられないことも多いからです。
「当たり前」を続けることで差別化を図る
では、どうやって差別化を図ったり、独自性を追求したりすればいいのでしょうか。
上述した通り、あくまで顧客や市場の課題や潜在的な要求に応える形で自然に生まれるのが理想ではあります。
とはいえ、なかなかそれも難しいのが現実と言えるでしょう。
だからこそ、無理をしてでもそれを成し遂げようと、躍起になる起業家や経営者が多いのですから。
一番現実的で確実な方法が、「当たり前のことを当たり前にやる」ということです。
何か特別なことをしようなどと考えずに、起業家や経営者として、当たり前のことを地道にやり続けるのです。
※参考 →「当たり前のことを当たり前にやる」
これが簡単に見えて、実は非常に難しいことであったりします。
例えば、昨今ではビジネス目的の企業担当者や個人事業主のみならず、学生を始めとする個人の方でもブログを開設し、日記のように日々の出来事を綴ることが全く珍しくはなくなりました。
当然、ブログを書いているからには、より多くの人に読んでもらいたい(アクセスを集めたい)と考えるものですが、そのためにはSEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)云々といった何やら小難しい話を避けて通れなかったりします。
※参考 →「SEOをどう考えるか」
SEOの対策には様々な説があるのですが、一つ間違いのないことは、ブログでアクセスを集めるためには、毎日記事を更新することが一番であるということです。
ところが、多くの方がそれを「当たり前」の事実と知りつつも、実際にブログを毎日更新している人は、非常に限られてくるのです。
つまり、忙しい現代人が、ブログを毎日更新するというのは非常に難しいことであって、なかなか続けられるものではないと言えるのです。
だからこそ、SEOの観点からすればもはや「当たり前」に効果があると思われている毎日の更新を、「当たり前」のように地道に続けることで、特別なことは何もしなくても、更新の滞っているブログより格段にアクセスが集められることは間違いありません。
要するにそれだけで、他の人(ブログ)との差別化を図ることが出来るという訳です。
※注
実際には、記事の更新頻度だけでなく、その文章内容や構成などの様々なファクターがSEOに影響します。ただしここでは、話を複雑にしないために、更新頻度(毎日更新するということ)に絞って話をしています。とはいえ、特に開設間際(数ヶ月~半年)のブログにおいて、内容を充実させるためにもしっかりと毎日更新することが、SEOへの効果という意味において「当たり前」に重要であるということに、何ら変わりはありません。
成功する起業家は知っている
成功する起業家は、当たり前のことを当たり前に続けることで、他者との差別化を図ります。
当たり前に思われることであっても、それを地道に続けることが出来る人は、実は少ないということをよく知っているからです。
その状況で、差別化は結果としてついてくるものであると、身をもって分かっているのです。
そしてさらに、これには副次効果があります。
実は、当たり前のことを当たり前にやっている中で、フッと斬新なプロダクトアイデアが湧いてきたりするものなのです。
アイデアなんて、無理に捻り出そうとしなくても、そんな形で生まれることが多いのです。
成功する起業家は、そのことまでをもよく分かっているのです。