起業して間もないころなどは顕著ですが、今後の先行き、特に収支に関する不安がどうしても頭から離れない状態になると、お金を使うよりもむしろとにかく貯めておきたい、少しでも残しておきたいといった気持ちが強くなってしまいます。
とりわけ、初めての起業である場合は、自ら事業を営むということが、想像以上に出費の嵩むものであるという厳しい現実に、ことさら驚かされるというケースが多いものです。
起業資金として蓄えていたお金が、あれよあれよという間になくなってしまったという話など、全く珍しくはないのです。
※参考 →「起業には何かとお金がかかる」
そうすると、売上が計上され、少しでも余剰金が発生したら、とにかく今後のために残しておきたい、といった思考に陥ってしまいます。
ただでさえ、無駄遣いを悪とし、浪費家は敬遠される傾向にある日本においては、多くの方が、常日頃から節約を心掛け、堅実に貯蓄を行うことが美徳であるとして育てられてきたはずです。
そういった背景に加えて、起業後に予想外の出費が嵩み、今後の不透明感に対する大きな不安やプレッシャーが伴えば、これは無理のないことでしょう
適切な投資判断を
しかしながら、お金を貯める一方で、かけるべきところにはしっかりとかけるという判断が出来なければ、それは起業家として致命的とも言えるほどの重要な事態なのです。
もちろん、貯蓄は非常に大事なことですし、あれやこれやと見境なく出費することを決して推奨するものではありません。
ですが、起業家として大事なのは、「貯蓄」を優先する思考ではなく、必要な「投資」を決してためらわない思考なのです。
当然ながら、その判断は簡単ではないこともあるでしょう。
何に対してお金をかけるのか。
いくらの金額をかけることが妥当なのか。
そして今、そのお金をかけることが果たして時期として適切なのか。
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そこにはいくつもの判断要素があり、まさに起業家としての知恵や知能をフルに働かせるべき、重要な決断となることも少なくないはずです。
投資なき発展など有り得ない
とはいえ、基本的には投資のない事業発展など有り得ないと考えるべきです。
起業家として、何かを変えるためには、時として思い切った大きな出費だって必要になるということを、認識するべきです。
それは、起業家自身の成長や進歩に関しても同じこと。
成功する起業家は、決して少なからぬお金を、自分自身に対しても継続的に投資していることが多いのです。
セミナーや講演、勉強会、はたまた書籍や情報商材など、その対象は問わず、少なくともどれも一度は幅広く経験しているといった方も多くいらっしゃいます。
そこには、単純に自分のための投資に留まらず、それらの存在を知ることで、広く世の中の在り方や現在の状況を掴むことが出来るという、非常に広い視野があってこそ、なのです。
それこそがまさに、「起業家としての視野」であり、そしてそこから生まれる「起業家としての投資思考」なのです。
ともあれ、貯蓄することを決して否定はしませんが、起業に踏み切ったからには早めの段階で、ともすれば積極的に投資していく思考に切り替えないと、事業を成長軌道に乗せることすら、難しいのかもしれません。