第一印象を重視する

営業活動における商談などが顕著かもしれませんが、顧客を始めとする関係者と相対する中で、意外と自らの第一印象が芳しくないことで苦労している、という起業家の方が多いようです。

つまり、初対面の際に、相手に良い印象を与えることが出来ず、相手の本音が引き出せなかったばかりか、ひいてはこちらのこともほとんど分かってもらえず、言いたいこともほとんど言えなかった…というようなお悩みを抱えている方です。

その結果、以後、その相手と連絡を取ろうにもそれすらままならなくなり、行き詰ってしまうという訳です。

簡単には覆せない

実際、相手が誰であっても100%必ず訪れるこの初対面という機会を、いつでもうまく思い通りに乗り越えられる人というのは、思いのほか少ないようです。

そして、初対面における第一印象というものは、一度根付いてしまうと簡単には覆すことが出来ません。

その後、余程のことがない限り、こちらが何をやっても、いかなるアプローチをしても、相手にはどうしても最初の印象が付いて回ってしまうことが多いものです。

人間の心理的な観点から考察してみても、基本的にそれが覆る可能性はもはやゼロに近いとまで言われています。

せっかく出会って話をする機会を持てたにも拘わらず、相手に良い第一印象を与えられないことが多いというその現実は、ともすれば閉塞感溢れる今の世の中においては、非常に哀しく映ってしまうものです。

聴く姿勢なくして、好印象などあり得ない

では、いったいどうしたらいいのでしょうか。

私は、過去にも以下のページで言及した通り、基本的には親身になって「聴く」姿勢を見せるということに尽きると思っています。

※参考
→「本音を掴み取る

どちらかと言えば人間は、自らのことをペラペラとまくし立てる人間より、こちらの話を身を入れて聴いてくれる人間のほうに好感を持つからです。

例えば、女性の恋愛相談において、それを受ける側は「気の利いたアドバイスをしようとするより、聴き役に徹していれば良い」などといったことがよく言われます。

実はこれ、女性に限ったことではありません。

さらには、恋愛相談でなくとも、全般的に言えることなのです。

つまり人は誰しも、自分の話をきちんと聴いてくれる相手に対して好感を持ち、自らも一定の満足感を覚えてしまうものなのです。

逆に言えば、聴く姿勢なくして、相手が自分に好印象を抱いてくれることなど皆無であり、ひいてはいつまで経っても本音など語ってくれるはずはありません。

質問は基本オープン・クエスチョンで

しかしながら、中には、「人のことを尋ねる前に、まずは自分のことを話すのが筋」と考える方もいらっしゃいます。

それはそれで、極めて理にかなった主張ではあります。

そういった方に対して、スムーズかつスマートにこちらの話が出来るように、自らの紹介内容をあらかじめ固めておくこと、すなわち、リスト化もしくはフォーマット化するなどの工夫をしておくと良いでしょう。

自分の会社のことであれば、会社案内や営業パンフレットなどの資料が既に存在しているかもしれませんが、自らのこと、つまり自分という人間について、リストやフォーマットなどの準備をしている人というのは、なかなかいらっしゃいません。

しかしこれ、一度作ってみると分かりますが、様々な局面で有意義に活用出来るものなのです。

場合によっては、それをそのまま相手に提示してしまっても構わないと思います。

それだけで話が済んでしまうことだってあるのです。

ただ、一字一句に至るまで詳細を固めておくというよりも、その場に応じて臨機応変なカスタマイズをしたり、トーク(しゃべり)で補足したりすることが可能なように、融通の利く内容に留めておくのが良いかもしれません。

シンプルなもので全く構わないのです。

そして、そういうものを活用しながらこちらのことを話しながらも、あなたを気にかけているという姿勢をもって、少しずつ相手のことも聴き出していく訳ですが、この時に、根掘り葉掘り質問責めにすることは、決して賢明ではありません。

もちろん質問なくして話は進まないのですが、相手の目をきちんと見ながら、オープン・クエスチョンで尋ねることが大事です。

オープン・クエスチョンとは、ともすれば抽象的な尋ね方をすることで、特に制約等を設けずに自由に答えてもらい、より多くの情報を引き出そうというものです。

要するに、それによって話が拡がっていき、相手に気持ち良くどんどんしゃべってもらうような質問の仕方なのです。

これに対し、「Yes」か「No」か、あるいは「A」か「B」か、はたまた特定の数値など、限定した回答で済んでしまうような質問の仕方を、クローズド・クエスチョンと呼びますが、特にこのクローズド・クエスチョンを矢継ぎ早に繰り出すことは、話の聴き方としては全くもって得策ではありません。

クローズド・クエスチョンで尋ねざるを得ない局面ももちろんありますが、話題を展開し、その場の雰囲気を和ませ、相手に好印象を与えるためには、オープン・クエスチョンを活用した聴き方を、大いに意識する必要があるのです。

※オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン

オープン・クエスチョン例

A:「休日は何をされているんですか?」
B:「車を運転するのが好きなので、ドライブがてらどこかへ出かけることが多いです。」
A:「そうなんですか。車の魅力はどんなところに…(以下、会話がはずむ)」

クローズド・クエスチョン例

A:「休日に映画を観ますか?」
B:「観ないですね」
A:「はぁ…。」

たかが第一印象、されど第一印象

いずれにせよ、初対面であれば、そして、(相手が)顧客という立場であればなおさら、相手は想像以上にあなたを警戒し、訝しみ、懐疑の目で見てくるものです。

ただでさえ難しいその状況で、さらに芳しい印象が得られなかったとなれば、その後の相手のガードはより固くなり、簡単に崩すことなど到底かなわなくなってしまうでしょう。

たかが第一印象、されど第一印象、場合によってはあなたのその後の事業の行く末を左右する、重要なものであるのです。

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