とにかく手っ取り早く、答えだけを知りたがる人がいます。
起業家においても、何はともあれとにかく答えを求める方というのが、ことのほか多いのです。
こちらがあれやこれや一生懸命セオリーやロジックを解き明かしたり、物事の舞台裏やそのプロセスを事細かに説明したりして、いくら答えを導き出すための手ほどきをしようとも、実際にはほとんど聞いておらず、最終的に、
「で、結局、私は何をしたらいいのですか?」
と尋ねてきたり、
「余計な能書きはいいので、やることだけ教えてください」
と要求してきたりするような人たちです。
こういう起業家は、自らが手掛ける事業においても、とにかく答え( = 結果)だけを求める傾向が強いようです。
プロセスに目を向けないトップ
もちろん、起業家や経営者、要するにトップとして、結果を求める姿勢、それありきのスタンスというのは、ある意味でしかるべきものです。
しかしながら、そこに至るまでのプロセスにきちんと目を向けることもしないと、ご自身も含めて、関わる人たちはだんだん、その要望( = 優れた結果)に合わせて帳尻だけを合わせるようになります。
挙句、数字の改竄や、粉飾などといった、不正が横行することになるのです。
そういった「結果のみ重視」のトップは、そのプロセスに自らが責任を持つという姿勢が全く感じられないことも多いです。
それ故、そういったトップは、結果がうまくいった場合には特に問題が起きないこともありますが、そうでなかった際には、自らの責任感のなさや、他力本願のスタンスを、あからさまに露呈してしまうことになります。
そんなトップからは、優秀な人材はもちろん、ビジネスの神様も当然逃げていくでしょうし(笑)、いわんや、成功など望むべくもありません。
私が考えるコンサルティング
起業家がコンサルティングに臨む姿勢として、コンサルタントという名の職業の人たちが、答えをずばり教えてくれる訳ではないと思っていたほうが賢明です。
コンサルタントとは、基本的には答えそのものではなく、答えを見つけるための知識や技術を知っている人たちなのです。
それを学ぼうとすることです。
そこから答えを導き出すのは、あくまで自分自身であるという気持ちが重要です。
もちろん、百戦錬磨のコンサルタントであれば、それ相応の答えも知っています。
悩みや質問に対して、ずばり、その答えを教えられることもあるでしょう。
でもそれは、起業家自身のためにはならないことがほとんどです。
それで解決したとしても、それは一時的なものでしかないからです。
そこに至るまでの知識や技術、要するにプロセスのほうを学ばないと、また同じことを繰り返すだけだからです。
この辺りについては、以下のページにも詳しいので、ぜひこちらもご参照いただければ幸いです。
※参考 →「主役はあくまで起業家自身」
一発屋の原因はここにある
そして何より、起業家が、プロセスに全く目を向けず、答え( = 結果)だけを執拗に求めてしまうと、ほぼ間違いなく一発屋で終わることでしょう。
要するに、万が一、手掛ける事業がうまくいったとしても、それは一時的なものであり、すぐに衰退し、その後が全く続かず、最悪は起業家人生そのものを諦めなければならない、といった事態に陥ってしまうであろうということです。
うまくいった理由やそのプロセスにきちんと目を向けて、それを検証し、次に活かすなどといったことは、決して想像に及ばないからです。
起業家として重要なのは、魚そのものを求めることではなく、魚のとり方を学ぶ姿勢であるということなのです。
※参考 →「一発屋になるな」