自ら事業を行う起業家やフリーランスのみならず、組織に属するサラリーマンの方においてもしばしば言われることではありますが、厳しいビジネスという戦場で日々を生き抜く戦士たるもの、常日頃から自分自身の成長やスキルアップのための投資や努力を怠ってはなりません。
自己研鑽・自己練磨・自己啓発・自己陶冶・自己改革・自己変革・自己形成・自己鍛錬 ,etc,etc,etc…
この手の言葉について、枚挙に暇がないことからもよく分かるように、昔から、自分を磨いたり成長させたりといったことについては、人間が生きていく上で非常に重要なこととされてきたのです。
特に、成功への道を自らで切り拓いていかなくてはならない起業家であれば、自分自身の成長やスキルアップが、そのまま事業の成果や収入に直結することも少なくありません。
逆に言えば、順調に事業を拡大し、収入を増やしている起業家の方は、当然ながら事業そのものに対して人一倍の努力をしている一方で、実は自分自身の成長やスキルアップに対しても惜しみのない投資を行っているものです。
「ストイック」などという言葉がありますが、たとえ他の面でだらしなかったりいい加減な部分があったりする起業家であっても、こと自分自身の成長やスキルアップに繋がる自己投資といった面に関しては、まさに人一倍ストイックであることが多いのです。
とかく起業家は大変なもの
ここで言う投資とは、お金を使うという意味だけではなく、当然、時間や労力を割くといった意味をも含みます。
起業すると、特にその当初においては、たたでさえ長時間働くことが必然とも言える状態となることでしょう。
※参考
→「起業家が長時間働くのは必然か」
にも拘らず、その上さらに時間を割いて、自分への投資を行わなくてはならないというのですから、改めて、とかく起業家というのは大変なものです。
意気揚々と起業した方から、しばらくして「とてもじゃないが体が一つじゃ足りない」「時間がいくらあっても足りない」「一日24時間では到底追いつかない」といったぼやきが出てくることが多いのも、至極もっともであるように思います。
とにかく大事なものは時間である
さて、そういったぼやきからも分かると思いますが、実は起業してある程度流れに乗り始めると、「とにかく時間が足りない」という状況に陥るものです。
その頃は、起業家としての悟りのようなものを少しずつ体得し始める時期でもあります。
その悟りのうちの一つとでも言いましょうか、お金は仕事さえこなせば多かれ少なかれ得られるものであるという感覚を手にする一方で、時間というものは誰にとっても1日24時間しかなく、かつ経過した時間というものは決して取り戻すことが出来ないといった気付きを、まさに肌で感じる時期なのです。
時間だけはどうしてもままならないということに、ある種の怒りのような感情すら覚えることもあるでしょう。
つまりこの時期、起業家にとって、とにかく大事なものは時間であるということを、極めて切実に悟るのです。
あくまでも中・長期的な視野で
そのような状態で、自分自身の成長のためにコストを割くこと、すなわち事業を進めていく一方で、さらに自分への投資を行うといったことが、現実的に可能であるのかといった疑問は、当然湧き上がってしかるべきです。
ただ、語弊はあるかもしれませんが、どんな状況であっても、そしてどんな無理をしてでも、起業家たるもの、自分への投資は怠るべきではないと断言しておきます。
何故なら、適切な投資であれば、それはいつか、必ずプラスとなって返ってくるものだからです。
つまり、自分への投資としてなけなしの時間やお金を割くことで、将来的には必ずそれ以上の時間やお金を手にすることが出来るのです。
言い換えれば、自分への投資は中・長期的な視野で行い、早急な結果や短期的な成果ばかりを追い求めないことです。
それが、投資による成長やスキルアップ実現の、ひいては事業成功の、秘訣なのかもしれません。
「投資」を「浪費」にしないために
もちろん、自己投資という名の下に、お金や労力をふんだんに使うことすべてが、必ずしも良いことばかりであるとは限りません。
上で、「適切な投資であれば…」とあえて付記したのは、そこに理由があります。
よく言われることですが、「投資」が「浪費」になってしまっては、元も子もないのです。
投資を浪費にしてしまわないためには、上述したような自分へ投資する意味、すなわち、いつかプラスとなって返ってくるかどうかという観点から、判断するのが一つの方法ではあります。
つまり、一時的には大きな出費となったり、長い時間を割かなければならなかったりするようなことであっても、そうすることでいつかそれ以上のお金や時間を取り戻せるかどうか、そこが判断基準になるであろうということです。
とはいえ、その結果はすぐには分からないが故、やはり中・長期的な視野に立って思考を巡らせ、判断しなければならないのですから、それが非常に難しいものであることには間違いありません。
そう考えると、たとえ誤った判断を下してしまうことで、無駄な投資(つまりは浪費)だったと後になって分かったとしても、決してそれで挫けない屈強な精神と、それが分かっただけでも貴重な授業料だったと考えて、すぐ次の投資に向かえるようなポジティブな思考も、起業家には大いに必要なファクターなのかもしれませんね。