すべては自らが基準である

一定の自由と引き換えに、すべての責任を自ら背負う大きな不安とプレッシャーが必ず付きまとうもの、それが起業家です。

当サイトにおいても、それはあらゆる記事において言及してきたことであり、もはや燦然と輝く事実には違いありません。

しかしながら、そのことを重く受けとめすぎるせいか、事業を推進する上でのあらゆるすべてを、起業家である自分自身がこなさなければならないという、いわば強迫観念に囚われている人も数多く存在するのです。

※参考
→「すべてを自分でやろうとしない

餅は餅屋とばかりに専門家に任せて、もっと起業家として他のことに時間を割くべきである、というのが上に挙げた記事の主旨ですが、とはいえ一方で、それで起業家の責任が軽くなる訳ではありません。

起業家として「すべての責任が自分にある」ことの本当の意味は、「すべての基準が自分にある」と言い換えれば、分かりやすいかもしれません。

要するに、起業家自らが、あらゆるすべてにおける基準になっていくということなのです。

アウトプットは起業家に合わせて調節される

故に、上述したように事業遂行において発生する一部タスクを専門家に任せる際にしても、その出来・不出来は、すべてが起業家自らを基準としたものになることが多いのです。

要するに、専門家は、仕事を依頼した起業家に合わせて、アウトプットレベルを調節してくることがあるのです。

もちろん、そんな仕事の仕方は真のプロフェッショナルがやることではありませんが、時間や労力など限られたリソースにおいて最大限の利潤を生み出そうとするのが世の中の常であるが故、悲しいことにそんなことは普通に横行しているのです。

そして、言うまでもありませんが、起業家自らが抱える部下や従業員であれば、これはもっと顕著に現れる傾向です。

つまり、すべてのアウトプットは、トップである起業家に合わせてレベルが決定されると言っても、決して過言ではないのです。

手を抜くと質はどんどん低下する

少し回りくどい言い方をしてまいりましたが、要するに、起業家であるあなたが手を抜けば、必然的に周りも手を抜くことになるということです。

そして、いつしかそれが100%の仕事となり、全体の基準となってしまうということです。

さらに、それを続ければ続けるほど、全体としての仕事の質は、どんどん低下していくのです。

これは本当に怖いことで、例えば、手を抜くことで、本来の力の9割しか発揮しないようなことを続けていると、いつしかそれが平常運転( = 100%の仕事 = 基準)となり、そのうちに、さらにその9割の力しか発揮出来ないようになります。

その時点で、当初の81%の力まで落ちているということなのです。

これは単純な計算上での話でしかありませんが、実際にそのようにしてどんどんと全体の基準や仕事の質が低下しているという組織は、往々にして存在するのです。

99%の目標達成率をどう扱うか

私の知っているある企業では、売上などの営業数値はもちろん、あらゆる稼働率や原価率などをすべて明確に目標化し、全従業員で共有しています。

そして、「すべての目標は必ず達成するものであり、たとえ1%でも決して下回ってはならない」との厳しい掟があり、それが全体の秩序として従業員一人一人の骨の髄まで染み込んでいます。

たとえ99%の達成率でも、決して良しとはしないのです。

それが、あらゆる項目におけるすべての目標について、驚くほど徹底されているのです。

何故なら、99%で「ほぼ達成」としてOKしてしまうと、次回からはそれが100%( = 基準)となり、そうやって目に見えないところでどんどん目標となるハードルが下がってきてしまうことを、トップがよく分かっているからなのです。

すべては起業家のさじ加減一つ

繰り返しになりますが、起業家であるあなたが手を抜けば、必然的に周りも同じように手を抜きます。

そうやって、関わるすべてのアプトプットが、手を抜かれたものになっていきます。

要するに、これも改めて言うことになりますが、すべての基準が、起業家であるあなた自身にあるということなのです。

逆に言えば、それが起業家( = トップ)なのであり、すべての責任を背負う反面、すべてのあらゆる基準ですら、自らのさじ加減一つでどうにでもなるということなのです。

であるならば、全体として成長していくためには、起業家自身が、自らの基準をどんどん上げていくしかありません。

現在の120%の出来を目指して努力すれば、ゆくゆくそれが基準となった時点で、現在の144%の出来を目指せることになるのです。

そしてこれを繰り返していけば…もはや言わずもがなです。

そうやって、ともすれば指数関数的に基準を上げ、収益を上げ、そして成功を一気に手繰り寄せる、それが出来る起業家の王道なのかもしれません。

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