起業家に必要な思考

起業して事業を鋭意推し進めているあなた(もしくはあなたの会社)に、ライバル(個人でも企業でも構いません)が存在するとします。

そしてある日、社員(もしくは友人など周りの誰か)から、とあるビジネスのアイデアをもらったとします。

それは、ライバルもまだやっていない事業で、あなたはそれに対して一定のポジティブな評価をしました。

とはいえ、準備やコストなどの関係で、一朝一夕で始められるようなものではありません。

その時、あなたは起業家(社長)として、どう考えるか。

  1. ライバルがやっていないから、やらなくていいと考える。
  2. ライバルがやっていないから、まだ焦らなくても大丈夫と考える。
  3. ライバルがやっていないから、一刻も早くやるべきだと考える。

1番は、ライバルがやっていないんだから、やらなくたっていいだろうという、ことさら楽観的な考え方です。

ライバルがやってから、その時に考えよう、といった感じでしょうか。

つまり、ライバルがやらない限り、基本的には自らもやることはなく、ただのアイデアで終わってしまうかもしれません。

自らが行動の起点となることはなく、ライバルによって動かされる(行動が決まる)という、いわば「ライバル・ドリブン」とでも言うべき状態です。

2番は、ライバルがやっていないんだから、やるにしてもまだまだ焦らなくて大丈夫という、こちらも比較的楽観的な姿勢と言えるでしょう。

やりたいけど、無理のない範囲でまず準備や下調べを進めておこう…といった感じでしょうか。

やることを前提に動くものの、実際のスタートまでにはかなりの時間がかかりそうですね。

状況によっては、ペンディングとなって放置されてしまう可能性も極めて高そうです。

その間に、ライバルが先んじてしまう可能性は大いにあります。

3番は、ライバルがやっていなからこそ、先行してやってしまうべきであるといった、極めて積極的な考え方です。

可能性があるのなら、とにかく全力で挑戦してみよう、といった具合です。

今はライバルもやっていないけど、いつ始めてしまうか分からないし、だからこそチャンスである今のうちに先んじてやってしまいたい…という姿勢が窺えます。

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いかがでしょうか?

言わずもがな、起業家に必要なのは3番の思考であること、お分かりいただけるかと思います。

アフリカのとある民族の話

さて、思いの外、前置きが長くなってしまいましたが、同じような話で、アフリカの奥地で、とある民族に遭遇した二人の靴の営業マンの話があります。

有名な話ですので、既にご存知の方も多いのではないかと思いますが…。

その民族の人たちは、靴を履く習慣がありません。

それを見て営業マンの一人(仮にAさんとしておきます)は、「靴を履く習慣がない民族に、靴なんて売れるはずがない」と考えます。

一方で、もう一人の営業マン(Bさんとします)は、「今は靴を履く習慣がないけど、彼らが靴を履くようになれば、これは凄いマーケットになるぞ!」と考えます。

この話は、悲観主義者と楽観主義者の対比といった形で語られたりもしますが、もちろん単に、前者(Aさん)が悲観主義者で後者(Bさん)が楽観主義者といった単純な構図で片付けられる問題ではありません。

そこには、ビジネスで成功するために必要な重要な思考が含まれているのです。

当然ながら、起業家たるもの、自然と後者の考えに至るようになりたいものです。

それは要するに、前項で言えば3番の思考と同じものですね。

恐らく後者の営業マン(Bさん)は、他社がその民族の存在に気付いてしまう前に、いち早く彼らに靴を売り込み、大きな収益をあげることでしょう。

時には王道を踏み外すような思考も必要

さて、二つほど例をあげて考察してまいりましたが、これらの話に含まれている示唆を端的に言えば、固定観念からの脱却であり、既成概念の打破である、ということになります。

ライバルと同じことをしていたってダメなのです。

真似をするだけでは何も生まれないのです。

マーケットなんて初めはなくて当たり前なのです。

逆に言えば、マーケットのないところ、ライバルがまだ気が付いていないところに、大きなビジネスの種が隠されていたりするものなのです。

何もないと諦めてしまうのか、あるいは、何もないからこそチャンスであると考えるのか…。

この思考の違いは極めて大きなものです。

つまりは、マーケットがないなら、自ら創ってしまうといった思考も時として必要であるということです。

いたずらに奇をてらったことをしろとか、既定路線のあえて反対を行けとか、そういった意味ではありません。

ですが、起業家として生きていく限り、ともすれば王道を踏み外すような思考が必要となる局面に、間違いなく遭遇するのです。

その際に、本当にそういった思考を持てるかどうか、そしてそれに従って実際に行動出来るかどうかが、その後の成否を大きく左右すると言っても、決して過言ではないのです。

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