起業家として、組織を成長させ、事業を発展させていくためには、そこに関わるすべての人たちの成長が不可欠です。
言い換えれば、組織の成長や、それに伴う事業の発展とは、起業家自らはもちろん、すべてのメンバー(従業員)の成長とイコールであるということです。
そして、人の成長とは、何かが上達するとか、新しく出来ることが増えるとか、分からなかったことが分かるようになるとか、そういったことだけではありません。
自らの長所や強み(ストロングポイント)、そして欠点や弱み(ウィークポイント)をきちんと把握し、それを受け入れるということも、人としての立派な成長であると言われています。
そして特に、後者を素直に認め、それを受け入れて十分に咀嚼すること、すなわち、自らのウィークポイントを理解し、それに沿った行動を取ることが、人の成長においては極めて重要であると言われているのです。
弱点を認めると行動が変わる
自分のウィークポイントを素直に認め、受け入れることが出来ると、目に見えて思考や行動(アウトプット)が変わってくることがあります。
例えば、人を頼ったり、協力を仰いだり、専門家に任せたりすることに、いい意味で抵抗がなくなり、適切適宜に役割を充て込むことがスムーズに出来るようになるのです。
これは、起業家や経営者、あるいは管理職など、人の上に立つ者としては非常に重要な能力であり、トップやリーダーがこれを出来るか出来ないかで、その組織の成長や事業の発展、ひいては将来的な成功の可不可が左右されると言っても、決して過言ではありません。
※参考 →「すべてを自分でやろうとしない」 →「天才ならではの起業失敗」
最強の組織はこうして出来上がる
あるいは、自分のウィークポイントを受け入れることは、そのようなビジネス上の効果に限らず、生活全般において効果があり、例えば、周りの人に大いに優しくなることが出来るため、協調性が向上するといった話があります。
それは、受け入れた自らのウィークポイントに他人のそれを照らし合わせたりすることで、他人のウィークポイントに対しても素直に受け入れることが出来るからであろうと考えられます。
要するに、自分を受け入れることは、他人を受け入れることと直結しているのです。
※もちろん、たまにそうはならない方もいらっしゃいますが…。いわゆる、「人に厳しく、自分に甘く」といった人たちです。多くの場合、そこに理屈など全くありません。
他人のウィークポイントを素直に受け入れることが出来るようになると、それを「無理に変えてやろう」とか「何とか矯正してやろう」などという気にはならないものです。
その人のあるがままを受け入れ、逆に長所や強みを活かす方向で、(決して打算的な意味合いではなく)うまく盛り立てるような付き合い方を模索するといった思考に変わってくるはずです。
ビジネスの場であれば、ストロングポイントをより強めるべく育てたり、その強みがより発揮出来るような活躍の場を与えたり、といったことを考えるようになります。
トップやリーダーがこうなると、そこにぶら下がる組織は、総じてそういった思考回路で回り始めます。
こうして、一人一人が最大限のパフォーマンスを発揮出来る組織、言うなれば、適宜役割が分担され、最適な配置がなされた組織が、出来上がっていくのです。
これがまさに、「最強の組織」です。
最強の組織では、トップは往々にして皆謙虚で、自らのウィークポイントをきちんと把握しており、その分、周りのメンバーをうまく頼り、心からリスペクトする気持ちを決して忘れてはいないものなのです。
※参考 →「現場へのリスペクトを忘れるな」