起業家が抱える些細な悩み

私は常々、「とにかく行動する」ということの大切さについて、色々なところで話をしています。

それは、即行動することで状況が変わったり、それが結果に繋がったりする事例を、いくつも見てきているからに他なりません。

※参考
→「行動することで状況は変わる」
→「やらずに後悔するより、やって後悔しない」
→「思い立ったらすぐに行動する

また同時に、行動しないことであれこれと悩んでしまうことのデメリット、すなわち、心理学的な観点から鑑みた負の側面や、そこで消化する時間のもったいなさなどにも、そこここで触れてまいりました。

私は、起業家として事業を牽引・推進するという観点に立って、つまり大枠のポイントからそのようなポリシーを説いているのですが、最近、起業家と話をしていて感じるのは、彼らの悩みは、もっと手前の基本的なところにあって、言ってしまえば極めて些細なものであることも多いという事実なのです。

そして、そういった些細な悩みは、若い起業家よりも、それなりの年齢を重ねているベテラン(起業家としてベテランというより、人生経験が豊富という意)の起業家に多いような気がしています。

人間の本質はデリケートで面倒

どのような悩みかと言いますと、一つ極端な例を挙げますが、例えば、懇意にしているクライアントさんに出したメールの返事が「なかなか来ない」、あるいは来ても「すごく遅い」「内容がそっけない」といったもの。

それをもって、「クライアントさんの真意はどこにあるのだろうか?」といった思考に陥っているという訳です。

そして、それを真面目に相談してくるのです。

思わず、「社会人1年目の新人か!?」あるいは「異性に片思い中の学生か!?」などと突っ込みたくなるような悩みですが、こういった些細なことについて本気で悩まれている(もちろん、立派な大人の)起業家の方が、実際にいらっしゃるのです。

自らの事業に極めて慎重に、至って真面目に取り組んでいるが故、とも言えますが、いちいちそこで立ち止まっていては、身も心ももたないのではないか…などとこちらが少々心配になります。

こういった起業家にお会いする度に、人間の本質というものは、実は至極デリケートで、弱くて、非常に面倒なものなのかもしれないということを、自ずと感じずにはいられないのです。

想像や妄想を事実と認識する怖さ

さて、上で例に挙げた些細な悩みですが、これはもう、解としては「そのクライアントさんに直接聞いてみるしかない!」の一言に尽きます。

要するに、「とにかく行動する」という、大枠のポリシーと何ら変わらない訳です。

それすらせず、あれこれと悩み、妄想を募らせ、猜疑心を膨らませていくということのリスクは、実は「些細」などとは言っていられないくらい大きいものがあります。

実際には、メールの内容、あるいは未返信や返信遅れなどには、全く他意などないかもしれない(というより、恐らくそのほうが圧倒的に多い)のに、妄想や猜疑心で捻り出した答えを事実であるものと勝手に認識してしまえば、そのクライアントさんとの関係を壊してしまうことにもなりかねません。

一言で言えば「思い込み」ですが、人間は、想像や妄想によって「○○に違いない」と思い続けてしまうと、その理由や根拠を勝手に作り出して、本当にそれが事実であると認識してしまうのです。

そして、それが高じて、自らのメンタルにも大きな影響を及ぼすことがあります。

猜疑心や悪い妄想は、あらゆることに対する疑心暗鬼を呼び、さらにそれがエスカレートすれば、被害妄想や「妄想性パーソナリティ」といった障害にも至ってしまいかねないのです。

私は決して、話を大袈裟にしたい訳ではありません。

ただ、ビジネスという厳しい舞台での成功を目指し、常にストレスフルで、ギリギリの状況で戦っている起業家だからこそ、こういったことに対して意識的に気を配るべきだと思うのです。

そもそも、ただでさえ時間の足りない起業家たるもの、そんなところで立ち止まっている暇などないはずです。

「クライアントに聞いてみる」などといった、ちょっとした行動一発で、悪い状況を未然に防ぐことが出来たり、負のリスクが大いに軽減したりするのであれば、もやもやと悩み始める前に、絶対に即やるべきなのです。

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