今日は(今日も?)まさにとりとめもない話ですが、大事な内容です。
とある起業家が、体調を崩し、寝込んでしまったんだそうです。
起業家が寝込んだと聞けば、さぞ、寝る間も惜しんで働いていたのだろうと誰もが推測してしまいますが、本人曰く、実際に従事していた時間はさほどでもなかったとのこと。
では何故、体調を崩してしまったのでしょうか。
それはやはり、起業家であるが故、あらゆる方面から降り注ぐプレッシャーからなのだそうです。
つまり、睡眠不足などで肉体的に直接的な支障をきたす前に、精神面からやられてしまった、というのが本人の分析です。
夜は十分眠っているし、仕事をこなすこと自体は苦痛で仕方がないなどということも全くなかったけど、自分でも気付かぬところで体全体に重い枷(かせ)をかけられていたようだった、というのです。
もちろん実際には、そのプレッシャーなどから夜も毎日ぐっすり眠れていた訳ではなかったとも考えられるため、あながち肉体に対する直接的な原因が関係ないとは言い切れない部分もありますが、それでもこういった精神面が要因となって、体の様々な部分を無意識のうちに徐々に蝕んでいくということは、全く珍しい話ではないのです。
実際その方、体調を崩して寝込み、もはや仕事をしたくても出来ないという状態に陥ったことで、ある意味で開き直ることが出来たその瞬間に、スーッと何かが体から抜けていき、重い枷が外れたかのように、気持ちはおろか肉体的にも非常に楽になったといいます。
無数の前兆に気付けるか
さて、精神(メンタル)が肉体に大きな影響を及ぼすということは、今さらここで言及するまでもない、一般的に広く知られている事実です。
緊張して心臓の鼓動が速くなる(ドキドキする)…などというのは、日常的にかなり身近な例の一つかもしれませんが、考えてみれば、これってかなり怖いことですよね。
「緊張する」という精神の作用が、「心臓」という肉体、それも、人間の中では脳と並んで最も「命」に近いものの動きを、変えてしまう訳ですから。
それほどまでに、精神というものが、命という人間の根源に密接に結びついているといっても、決して過言ではないのです。
ともあれ、件の起業家の方にしても、緊張して心臓がドキドキするといった日常的な事例レベルの「前兆」のようなものは、必ずあったはずなのです。
ハインリッヒの法則ではありませんが、体調を崩して寝込んでしまうという最悪の事態に至るその前に、恐らくは危険信号がいくつもあり、さらにその前には、ちょっとした前兆が無数にあったと思われるのです。
※参考
→「事故が起きてからではもう遅い」
ハインリッヒの法則については、こちらの過去ページに説明がございます。このページ全般でも述べているように、とかく人は、何かが実際に起きてしまうまで何もしないものなんですよね…。
ブレーキをかけられるのは自分だけ
いずれにしても、そういった前兆は、他の人が見て認識出来るようなものではありません。
分かるのは、自分だけなのです。
つまりは、その段階で何かをセーブするなり、スピードを緩めるなりして、最悪の事態を未然に防ぐことが出来るのは、自分自身だけだということです。
少々の無理をして頑張ることを、決して否定するものではありません。
しかしながら、取り返しのつかない事態になってしまっては、元も子もありません。
起業家たるもの、自らの体の異常や変調については、常に敏感であるべきです。
それを感知したら、「頑張りすぎない」といったブレーキも、時には必要になってくるということです。
そしてそれは、時間的に(頑張りすぎない)、肉体的に(頑張りすぎない)、などといった意味合いだけでなく、精神的にも(頑張りすぎない)、ということなのです。
今は少しだけブレーキをかけて休んだほうが、成功への道のりが結果的に短くなるなどということは、往々にしてあり得ることなのです。
件の起業家の経験談は、そういったことを改めて、認識させてくれた一件となったのでした(ちなみに現在は、完全復活を遂げているようです)。