理想と現実の狭間で(その2)

前回も言及した、何かと何かの板挟みとか、理想と現実の狭間といった話の続きです。

※参考
→「理想と現実の狭間で

人間は、往々にして、何かと何かの間で板挟みになって苦しむもの。

上に挙げたページで触れた「嫁姑問題」などは、時に笑い話や酒の肴といったネタとして扱われることもありますが、これまで多くの既婚男性を苦しめてきた、極めて典型的な例と言えるでしょう。

そして、こと起業家は、常に理想と現実の狭間で苦悩しているもの。

言ってしまえば、ビジネスというものの本質は、「いかに理想と現実のギャップを埋めることが出来るか」というところにあるとも考えられる訳で、起業家がその狭間で苦しむのは、当然と言えば当然のことなのかもしれません。

そんな中、究極の選択ではありませんが、あなたが「理想と現実のどちらを大切にしていますか?」と質問されたら、どう答えるでしょうか?

この際、「どちらも」とか「そんな質問自体が愚問」などといった、優等生的返答は、なしでお願いします(笑)。

どちらかが正解という話ではない

起業家としては…というよりも、もはや人間である限り、理想を大切にしてそれを追い求める人生が送れるのであれば、それに越したことはないでしょう。

そういう意味で、「理想」という返答は、大いにアリです。

そして世の中には、理想を追い求めることで、収入という現実も付いてきてしまったという、幸せな人が一定数存在するのも事実です。

そういう人は間違いなく、「理想」と答えることでしょう。

ただ、そういう幸せな人を除いて、基本的には起業家たるもの、ビジネスという厳しい戦場で、日々厳しい現実と向き合い、しのぎを削っている訳です。

それ故、結局は「現実」だ、という意見も、極めてしかるべきです。

「そもそも自分と家族を食わしていかなければならないのだから」という声が、現実選択派に多いのも事実です。

これ、どちらを選ぶかというのは、結局はその人の現状に左右されることが多いのでしょう。

どちらかが正解でどちらかが不正解という話ではないのです。

単純に言えば…。

潤沢な収入があり、生活に余裕がある人ほど、「理想」と答える。

収支を含め現実に追われ、日々ギリギリで生きている人ほど、「現実」と答える。

本当に単純ですが、そんな図式なのです。

極めてシンプルですが、それが現実なのです。

私ならば「理想」と答える

そう考えると、ビジネスを主戦場とした厳しい世界で生きていかなければならない起業家たるもの、基本的には「現実」と答えるべきではないか、という気もしてきます。

ビジネス上の様々な「現実」に打ち勝ったその先に、初めて「理想」が待っているものである…という順番で考えるのが、極めて妥当とも思えます。

そう言っておきながら、私自身はどう考えているかと申しますと、二者択一でどちらかを必ず選べと求められれば、実は「理想」と答えます。

上述したように、潤沢な収入があって、生活に余裕があるからでは、決してありません…本当です(笑)。

それは、以下のような理由からなのです。

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起業家にとっての「現実」を、日々の収支や家族の生活であると考えれば、それは毎日忘れることなく意識し、確認し、現状を認識することを欠かさないでしょう。

一方で、起業家にとっての「理想」を、夢や大きな目的と考えれば、「現実」に追われてそれを忘れてしまっていた、つまり文字通り忙殺されてそれどころではない、という方も多いでしょう。

つまり極論、起業家は(あるいはもはや「人間は」と言ってしまってもいいかもしれませんが)、自然と「現実」のほうを重視してしまうものなのです。

「現実」に対しては、無意識のうちに、毎日のようにしっかりとケアをしているのです。

それに対して、「理想」に対しては、ともすれば忘れ去られ、置いてきぼりにしてしまっていることも多いのです。

そんな状況において私は、少しだけ「理想」を大切に毎日を過ごしたほうが、うまくバランスが取れるに違いないと考えているのです。

例えば、「今日の儲けはどうだったかな」とか、「家族はちゃんと飯を食ったかな」とか、人は、そんな風に毎日欠かさず、極めて自然に「現実」をケアしています。

それと同じように、「今日の自分は夢に一歩でも近づけたかな」とか、「目的までの道のりに対して自分はどの辺りにいるのかな」とか、あるいは何かに感化されて新たな夢や目的を抱いてみるとか…そうやって、「理想」に対して毎日ケアしたり考えてみたりするだけでも、少し心に余裕が持てるような気がするのです。

要するに、現実問題として実際に「理想」だけを追い求められるかどうかは別にして、気持ちだけは「理想」を大切にして、それを意識して、その存在を毎日思い返してあげないと、いつしか「現実」にすがるだけの、寂しい人生になってしまうような気がするのです。

それこそまさに、「理想」なのかもしれませんが(笑)。

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