ビジネスは「不足」との戦いである

誰であっても、どんな分野であっても、そしていつの時代であっても、ビジネスを推し進めていくにあたっては、常に「不足」との戦いを強いられるものです。

言い換えれば、起業家や経営者は、常に「○○不足」という状況と、戦っているということです。

○○には、あらゆる事業リソースが入ります。

例えば…。

  • 資金不足
  • 人材不足
  • 時間不足
  • 経験不足
  • 技術力不足
  • アイデア不足

,etc,etc,etc…

起業間もない時期であれば、特に「資金不足」と「時間不足」は、ことさら大きな問題であるはずです。

ただでさえタスクが山のようにあって時間がいくらあっても足りないという中、資金が不足しているが故、ともすれば四六時中資金繰りに奔走し、ますます事業(本業)に打ち込む時間が足りなくなっていく…。

そんな負のサイクルに陥っている起業家は、全く珍しいものではありません。

そして、それに対する特効薬、すなわち銀の弾丸の存在は、期待しないほうが賢明というものです。

つまり、ただひたすら努力するしかない…と言ってしまっては身も蓋もありませんが、往々にしてそういう側面は強いと考えたほうがいいでしょう。

しかしながら、その努力の方向性やその際の思考に関しては、一考の余地が大いにあるのです。

人は、意外と「持っている」

シンプルに考えて、何かが足りなければ、当然それを補うべく努力する訳ですが、それでもどうしようもない場合は、今現在持っているもので何とかするしかありません。

すなわち、

1.不足状態を認識する
2.不足しているリソースを補うため行動(努力)する

それでもどうしようもなければ、

3.現在持っているリソースのみで対応する

という順序になるはずです(あるいは、「3.諦める」という選択肢もあるでしょうが、ここではそれは除外します)。

ところが、「3.現在のリソースのみで対応する」状態にまで思考が至らず、「2.不足しているリソースを補うため行動(努力)する」状態を、延々と続けてしまう人が圧倒的に多いのです。

それは、語弊を恐れずに言えば、いつまで経ってもどうしようもないものをどうにかしようとして、どんどん疲弊していっているだけなのです。

つまり、どこかでやるべき「「3」へ進めるための判断」が出来ない(あるいはそのような判断の必要性すら分かっていない)という状況なのです(あるいは本来、「3」が「2」よりも前に来るはずなのですが、多くの場合、そもそもそうはならないのです)。

「3」に思考を進める(切り替える)ことが出来れば、必ず何がしか事態は変わってきます。

何より、自らが持っているリソースを、冷静に見つめ直すいい機会となるはずなのです。

そこで改めて、自分(あるいは自分の会社や組織)が、意外と色々なものを持っているということに気が付くというケースも多いものです。

結果、足りないと思っていたものが、実は既存のリソースで十分だったということだって、往々にしてあったりするのです。

要するに、人は誰であっても、多かれ少なかれ、意外と「持っている」ということです。

※もちろん、ここで言う「持っている」は、単純に「保持している」という意味に過ぎません。

センスがあるとか、才能や潜在能力があるとか、特別な強運を秘めているとか、必ずうまくいく星の下に生まれてきたとか…。

スポーツ選手などがよく言う、そのような意味の「持っている」ではありません。

人は、特に「持っている」訳ではなくとも、意外と「持っている」はずなのです(笑)。

人生それ自体が常に「不足」との戦い

自らを省みず、とにかく不足を何とかしようとしてしまうこの傾向は、ビジネスに限らず、普段の生活においても大いに見受けられるものと言えます。

今や、人々の生活は豊かになり、科学や技術も進歩して、新しいものや便利なものがどんどん生まれている状況です。

そんな中、人は、そういったものを次から次へと欲しがるようになりました。

冷静に考えれば、今持っているもので十分であるにも拘わらず、新たなものが生まれる度に、それが自らの生活における不足を補い、潤ってくれるものと考えて、何とか手に入れようとするのです。

もちろん、そうやって社会や経済が活性化し、世の中が潤滑に回っている訳であって、一概にそれを非難するものではありませんが…。

さらに考えてみれば、勉強や自己研鑚など、人間一人一人の人生における成長だって、自らに足りないものを充足するべく、新しいものを追い求める行為であると言えるでしょう。

概して、とかく人間は「ないものねだり」、つまり自分が持ち合わせていないものを、常に追い求めてしまう生き物なのです。

突き詰めれば、起業家が、成功を追い求めることだって、全く同様という訳です。

要するに、ビジネスのみならず、「人生」それ自体が、常に不足との戦いであると言っても、決して過言ではありません。

そう考えると、人間は生きている以上、絶えず何がしかの不足に苛まれており、すべてにおいて満足することなど、決してあり得ないのかもしれませんね。

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