「見える化」と「コミュニケーション」

いきなりですが、今回は極めて実務的な話です。

ビジネスにおいて、物事を滞りなく、円滑に全うするにあたっては、「見える化」(可視化)が必要であるということがよく謳われます。

特に、そこに関わる人数が多くなればなるほど、この「見える化」の重要性が増すとも言われています。

諸々の工程と、それぞれにおける進捗について、リアルタイムでの見える化を行うことにより、課題や問題が発生した際にも、スピーディーに対応出来るという訳です。

また、同時に収支まで把握出来るようにすることで、売上や利益といった観点からも早期の対策を打つことが可能になります。

ただこれ、「言うは易く行うは難し」のことわざ通り、こうやって言葉にするのは簡単なのですが、実際に行うのは非常に難しいことである…というのは、多くの経営者や管理者の知るところなのです。

結局そこへ帰結する

とはいえ、難しいと言って嘆いてばかりいても、何事も前には進みません。

自らが単独で、要は個人事業主やフリーランスなどですべてを自分一人で進めているといった場合であればいざ知らず、そうでなければ、やはり綿密な「見える化」の実践に尽力するべきです。

そのためにはやはり、日常における当事者との緻密な「コミュニケーション」を怠らないというところに帰結せざるを得ないでしょう。

緻密な「コミュニケーション」により、綿密な「見える化」を実現する。

繰り返しになりますが、これほど「言うは易く行うは難し」がぴったりとはまる事柄もないかもしれません。

しかしながら、結局は、それは絶対にはずせない事柄なのです。

ともすれば、なんでもかんでも「見える化」や「コミュニケーション」という措置に帰結してしまう昨今の風潮には、実は私もほとほと辟易していた時期があったのですが、様々な経験を通じて、結局はそれが唯一であり、かつ最も効果的なものであるという結論に達したのです。

言い換えれば、これだけそこここで「見える化」「コミュニケーション」といったことが謳われるのは、結局、それらがそれだけ重要だからです。

スピーディーな時代だからこそ

特に昨今のように、ビジネス界隈に限らず、社会全体の情勢が目まぐるしく変化するようなスピーディーな時代において、これらはよりその重要性を増しつつあるといっても決して過言ではないでしょう。

スピード感溢れたビジネスに、今や「見える化」と「コミュニケーション」は欠かせないファクターなのです。

起業家や経営者としては、それぞれの事業運営や個々のプロジェクト推進においてのみならず、経営全体やマネジメントという観点からも、今後これらの重要性をますます痛感していくことになるのは間違いありません。

スピーディーな時代において重要となるファクターについては、他にも以下のページなどで言及しておりますので、ぜひご覧ください。

※参考
→「柔軟性と敏捷性がカギ」
→「PDCAを何度回せるか

「飲みニケーション」をどう考えるか

さて、せっかく「コミュニケーション」の話が出ましたので、ここで日本人特有の風習とも言われている「飲みニケーション」について触れておきたいと思います。

この「飲みニケーション」、ご存知の通り、「(酒を)飲む」と「コミュニケーション」が合成された造語であり、大人同士、居酒屋などで酒を酌み交わすことによって、より良い関係が構築される…ということを期待したものです。

しかしながら、世間一般の見解としては、賛成派と反対派に真っ二つに分かれるというのが現実のようです。

賛成派の意見としては…。

「仕事を円滑に進めるためには重要なもの」
「飲み会という、いわば非日常でしか話せないこともある」
「ざっくばらんに話をするために酒の力を借りるのは悪いことではない」
「実際に、飲みニケーションによって距離がグッと近くなったという例は枚挙に暇がない」

,etc,etc,etc…

片や、反対派の意見は…。

「酔ってなあなあで済ませる感じが否めない」
「酒の力を借りないと成り立たない関係などそもそも問題あり」
「酒が飲めない人間にとっては苦痛でしかない」
「結局酒が飲みたいだけのような気がする」

,etc,etc,etc…

私としては、通常(お酒の席以外)でのコミュニケーションがきちんと成り立っている上で、あくまでそれを補完する意味で、あるいはその延長として、楽しいお酒の席を共にする、という位置付けであれば、「全く構わない」のではないかと考えます。

上で示した賛成派の意見にもありますが、私自身、実際に飲みニケーションによってよりお互いの関係が深まったということは、何度も経験しておりますので、そういう意味では賛成派…と言えるでしょうか。

ただ、実はそれほどお酒に強くないということもあって、ないならないでやっぱり「全く構わない」んですが…。

そういう意味では反対派なのでしょうか?(笑)

ともあれ、ビジネスの世界に生きている者として、私のしがない経験から間違いなく一つ言えることは、何もしないと「飲みにすら誘ってこない」「飲みニケーションの重要性が分かっていない」などと憤慨する、顧客や取引先のお偉いさんは、実際に存在します。

こういった人たちに、起業家として、どう対応するべきか…。

恐らく、確固たる正解など、存在しないのでしょう。

さて、あなたはどうお考えになりますか?

※以下、全くの余談ですが、綴りが「communication」だから「コミュニケーション」である訳で、時折これを「コミニュケーション」とする方が見受けられます。

同様の例として、「シミュレーション」と「シュミレーション」(正しくは「simulation」 = 「シミュレーション」)などがありますが、ただこれらは、元々は英単語であるものを(いわば無理矢理)日本語読みしている訳で、そもそもカタカナ表記すること自体が完全なものではないと考えれば、どちらかが絶対であるといった類いの話ではないのかもしれません。

事例としては少し異なりますが、純粋な日本語であっても、「いちだんらく」と「ひとだんらく」(正しくは「一段落」 = 「いちだんらく」)、「おざなり」と「なおざり」(双方で微妙に意味が異なる)など、同じようにややこしい例はたくさんあります。

確かに、言葉は生きており、時代と共に変わるものです。

例えば、「他人事」は本来「ひとごと」ですが、あまりに「たにんごと」と誤用する人が増えたため、昨今ではそれでもOKとする向きが多いようです。

とはいえ、「コミュニケーション」や「シミュレーション」などはともかく、純粋な日本語に関してだけは、日本人として、出来る限り正確に用いたいものですね。
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