起業し、成功に向け、がむしゃらに頑張る。ただひたすらに努力を続ける。
それは大変素晴らしいことですし、厳しい言い方をすれば、起業家としてはもはや当たり前のことなのかもしれません。
ただ、それでもなかなかその努力が結果に結び付かず、日々悶々とされている方というのは、決して少なくはないものです。
次は休む番だという考え方
極論に聞こえるかもしれませんが、そんな時、目一杯張り詰めた気持ちを緩めるべく軽く手を抜いてみたり、いったん仕事を休んで思いっきりリフレッシュしたりすることは、長い目でみれば決して無駄な時間を過ごしたことにはならないと考えます。
要するに、これまで目一杯頑張ってきたのだから、そろそろ手を抜いたり休んだりする番だと考えてもいいんじゃないか、ということです。
あるいは、目一杯頑張ってきた自分に対するご褒美も、時には必要だということなのです。
そしてこれは、起業してビジネスを進める際に限らず、何か目的や目標に向かって物事を進める際など、あらゆる状況において適応出来る考え方なのです。
物事の反対側に目を向ける
これをもう少し大枠で別の物言いにしてみれば、「物事の反対側に目を向けてみる」といったことになります。
そういう言い方をすれば、ある意味、起業してビジネスを進めていく上でも、決して無駄にはならない考え方だという気になりませんでしょうか(笑)。
つまり…。
頑張る
↓
結果が出ない
↓
もっと頑張る
↓
まだ結果が出ない
↓
もっともっと頑張る
↓
・
・
・
この繰り返しをするだけが、成功への道のりではないということなのです。
「頑張る」ということの反対にあること、すなわち、「手を抜く」「休む」といったことにもたまには目を向けて、それを試してみるべきではないでしょうか。
休みなど一切取らずにひたすら頑張るとか、常に気を張り詰めて100%の力を維持するとか、それだけが成功するための方法ではないということなのです。
重量挙げの選手だって、筋肉を付けて、より重いものを持ち上げられるようになるために、四六時中筋トレをしているわけではないですよね。
筋トレをして、食事をして、そしてしっかり休むからこそ、次の筋トレがまた活きてくるはずなのです(余談ですが、実際、筋肉を鍛える過程では「超回復」という現象があり、筋トレは1日おき程度に行うのが最も効果があるといった説があります)。
大事なのはそういう視点を持つということ
とはいえ、休みが高じてモチベーションが低下してしまい、それを戻すことが出来なくなったり、手を抜きすぎて、実際の収支がさらに悪化してしまったりしては、元も子もなくなってしまうかもしれません。
大事なのは、そういう視点を持つということ、そういう考え方もあるという認識を持つこと、なのです。
それはある意味、頑張りすぎていた自分において、気持ちや行動のバランスをうまく取るということでもあるのです。
気持ちからして頑なに一直線に進むだけでは、ビジネス自体も余裕のない、頑ななものになってしまいます。
昨今の我侭なマーケットや、理不尽とも思える顧客の要望に柔軟に対応するためには、普段の気持ちや行動も柔軟なものでなくてはなりません。
そのためには、こういった視点も一つ必要であるということ、これを頭に入れておくだけでも、随分と違ってくるのではないでしょうか。
起業に限らずですが、常にこういった視点をどこかに持ちつつ、余裕を持って人生を謳歌したいものですね。
一流の人ほど、うまく手を抜いている?
ところで、ここまでのお話を裏付けるような説として、世界の名立たる起業家や、一流と呼ばれる経営者ほど、うまく手を抜いているものだという話があります。
中には、「超」のつくほど仕事が出来るトップレベルの人は、実に90%以上のタスクにおいて手を抜いているといったものまであります。
もちろん、これは個々の感覚値であって、実際に綿密な統計を取ることなど事実上不可能なんでしょうが…。
ともあれ、もし本当にそういう状況であるのだとしたら、100%…いや、120%の労力で仕事に没頭し、毎日とっぷりと疲弊している起業家の中には、やるせない気持ちになってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、これらの話を総じて吟味してみると、多くは、あらゆるタスクにおける共通部分を見出してうまく定型化したり、頭を使わなくても済むように手順化したりして、いわば「脳の疲労」を抑えているということのようです。
つまりは、本当の意味で単に手を抜いてしまうのではなく、独自のフレームワークを確立することで、「手を抜くことが出来る状態を自ら築いている」ということなのです。
結果的に、仕事のスピードも速くなり、生産性も向上するという訳です。
このことから分かるのは、手の抜き方にもうまいやり方というものがあり、そしてどうやら、一流と呼ばれる人たちは、手の抜き方ひとつとっても、やはり一流であるという事実です。
彼らはそうすることで、趣味に没頭したり、自己を研鑚したりする時間と労力を生み出し、さらに自らを高めているのです。