前回、同様のタイトルにて、自分が勝負するビジネスの舞台を決め、それを整えていくという最初の段階で、躓いてしまう起業家の方が実は多いという話をしました。
※参考 →「どういう舞台で勝負するのか」
何をやろうか、どういうビジネスで勝負しようかということがなかなか定まらず、起業して走り出そうにもなかなか走り出せないという落ち着かない状況があまりにも長く続くのは、相応の歯痒さとやるせなさが伴うものです。
今の状況から一刻も早く脱却し、新しい人生をスタートさせたいと意気込んでいたのに、なかなか進められないという現実を前に、心が挫けそうになったとしても、決して責められるものではないでしょう。
反面、後から振り返ってみて、実はあれこれ悩んだこの期間が一番楽しかったという起業家の方もいらっしゃいます。
確かに、起業の舞台が定まらないという不安定な状況はとかくネガティブな思考になりがちではありますが、その一方で、あえてポジティブな方向に目を向け、起業後の可能性に胸躍らせて、夢がどんどん膨らんでいくのは、それだけでワクワクする体験ではあります。
成功した自分を想像するのは、この上ない幸せな時間であるという起業家の方も、きっと多くいらっしゃることでしょう。
まさにそれが起業の醍醐味といっても過言ではないかもしれません。
だからこそ、起業というテーマは昔から注目され、多くの人がそれに挑戦し、数々の起業家が生まれてきた訳です。
ともあれ、あまり難しく考えすぎず、「何をしたって食っていける」くらいの心持ちでどんと構えておきましょう、というのが、前回の結論でした。
自らの資産との共通項を探る
さて、紆余曲折しようがしまいが、最終的に、起業にあたって自分がどういう舞台で勝負するかが定まったとします。
その舞台が何であれ、(それまでの過程よりも)実際に起業してからがとにかく大事であることは、前回もお話をした通りですが、その際、その舞台で起きている課題や問題などのファクターに対して、自らの知識や過去の経験をうまく結びつけることが出来れば、すべてがうまく回り始めるはずです。
いわば、その舞台に転がっているビジネス上の数々のネタと、知識や経験など自らの資産との共通項を見つけ、そこから具体的な戦術に落とし込んでいくという訳です。
もちろん、この共通項は、多ければ多いほど良いということは言うまでもありません。
共通項が全くないという状況であれば、そもそも勝負する舞台に対する選択が誤っているとも考えられますが、実はどんな舞台であっても、それは必ず見つかるはずなのです。
どんな人間でも、これまで生活を営んできた訳で、当然今後もそれは変わらず、語弊を恐れずにあえて言ってしまえば、あくまでビジネスなどその延長線上にしかないからです。
アメリカ合衆国の第16代大統領、エイブラハム・リンカーンの有名な言葉を借りて言うならば、ビジネスは、人間の、人間による、人間のためのものであるということなのです。
等閑(なおざり)にならないよう意識して取り組む
ところで、自らが勝負するビジネスの舞台と、これまでの知識や経験といった自らの資産との共通項を出来る限り見つけることで、そこから具体的な戦術に落とし込んでいく…というこの工程について、中には、何だか当たり前のことを言っているに過ぎないとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、起業後のビジネスを軌道に乗せ、かつ加速させていく上で、これは非常に大事なポイントであると同時に、実は意識して取り組まないとなかなか進まなかったりするものです。
起業後は、細かい事務作業や瑣末な問題に時間やエネルギーを割かれることも多く、ともすれば一番大事なビジネス戦略の立案や戦術への落とし込みが、何かと忙殺されて滞りがちだったりするからです。
プラスのサイクルを創出する
知識や過去の経験といった自分の資産を、自らが選択したビジネスの舞台におけるあらゆるネタとリンクさせることが、何故大事なのか。
もちろん、そうすることで、手っ取り早く収支という結果に結び付きやすいといった面は大いにあります。
ただ、それよりも重要なのは、そうしていく過程で自らのビジネスに共感や思い入れといった感情が生まれ、自然とモチベーションがアップしていくということなのです。
さらには、顧客のニーズを自分のことのように察知出来たり、より利便性の高いサービスを生み出すための思考が回り始めたりと、あらゆる事象がプラスの方向に動き始めます。
その様子が実感出来れば、もうシメたものです。
あとはもう、半ば勝手に、よりビジネスが加速し、新たな次のネタが生まれ、それが再びモチベーションの源泉になって…といった、いわば、プラスのサイクルが創り出されるのです。
このプラスのサイクルは、最初こそ大変ではありますが、2回転…3回転…と回数を増す毎に、実はどんどん軌道に乗って楽になっていきます。
そうなれば、あなたの成功はもはや約束されたようなものでしょう。