背水の陣で臨め

「背水の陣」という言葉がありますよね。

元々は、昔々の中国の武将が、後退が出来ないよう川を背にして陣を取ることで、自軍に決死の覚悟をさせて戦ったという話から生まれた言葉です。

中国の兵法には、「死地に陥れてこそ、生き延びることが出来る」「必ず滅ぶような場においてこそ、存命が可能である」といった内容が記載されているそうです。

「背水」とは、川や湖などを背にすることを意味します。

また、「背水之陣」と表記することで、四字熟語として扱われることもあるようです。

いずれにせよ、この言葉が、

  • 後には決して退けない状況
  • 絶体絶命に追い込まれた立場
  • 決死の覚悟をもって事にあたらねばならない様子

…などを表すものとして、広く使われているのはご存知の通りです。

※余談ですが、中国で言い伝えられてきた兵法は、具体的な戦術論だけではなく、それを裏付ける理念や思想に富んでおり、広く人生の神髄に触れるような奥深さがあるそうです。

そのため、そこから生まれた故事や格言の類いは、枚挙に暇がないようです。

前に進むしかないという状況

さて、人間というものは、背水の陣に追い込まれると、大きな力を発揮することがあります。

その状況自体が、自らを鼓舞し、モチベートする大きな源泉となるからです。

あるいは、無意識にそのような力を出すことが出来てしまうのです。

何せ、後ろに下がれないのですから、何としても前に進むしかないのです。

この切羽詰まった状況が、「とにかく何とかしなくてはならない」といった緊迫感を生み、それが潜在意識に働きかけることで、無意識のうちに秘められたパワーを引き出してくれるのでしょう。

「火事場の馬鹿力」という言葉もあるくらいで、極めて追い詰められた状況においては、普段では考えられないような力を発揮出来てしまうことがあるのです。

同様の意味で、「窮鼠猫を噛む」といった言葉もありますが、どうやら、絶体絶命の窮地に追い詰められた状況になると、普段以上の力を発揮出来るのは、人間だけではないようですね(笑)。

毎日が「夏休みの最終日」

ところで、学生時代、それまで全くやっていなかった夏休みの宿題を、ギリギリの最終日にまとめて片付ける…といったご経験は、多くの方がお持ちなのではないでしょうか?

国民的テレビアニメ「サザエさん」を観ていると、ワカメが前もってしっかりと夏休みの宿題を終わらせている一方で、カツオは最終日にマスオさんや波平さんまで動員して何とか終わらせる…というのが、毎年ほぼお決まりのパターンになっています。

ところが、私などはさらにひどいもので、最終日ですら遊び呆けてしまい、結局終わらぬまま次の日登校し、きちんとやってきた人に頼み込んで大急ぎで丸写しさせてもらう…なんてことも茶飯事でしたが…(笑)。

それはともかく、夏休みの最終日というのは、基本的には宿題をやらざるを得ない状況、いわば背水の陣に追い込まれた状況である訳です。

起業したら、もはや背水の陣であるという覚悟で臨むことが、成功に向けた大きなファクターとなるのは疑いようがありませんが、それは要するに、毎日が「夏休みの最終日」であるかのように、決死の覚悟を持つということです。

まさに今日、何としてでも宿題を終わらせなければ( = 売上を上げる、事業を軌道に乗せる…など)、明日は先生にこっぴどく叱られるという恐怖( = 起業家として終わる、生活が破綻する…など)が待っているのです。

ちなみに起業には、「次の日に、誰かの宿題を丸写しして事なきを得る」といった裏技はありませんので…(笑)。

自らあらゆる退路を断つ

背水の陣で臨むということは、自らあらゆる退路を断つということです。

結果を出せなかった時に戻れる場所があったり、たとえダメでも痛くもかゆくもないような甘い環境に身を置いていたり、あるいは、起業してからもなお迷いがあったりするような人が、果たして大きな成功を為し得るでしょうか?

「自分は大丈夫」と思っている人ほど、いざという時にことのほか弱みをさらしてしまったりするものです。

ちょっとしたことで、すぐ諦念が頭をもたげ、他の場所に逃げ込んでしまったりするのです。

そして、人間には誰しも、そういった弱い部分が少なからずあるものなのです。

戻る場所がある人、環境に甘んじることが出来てしまう人、あるいは、迷ってしまうような他の選択肢が残っている人が、本気で起業を志すのであれば、半ば無理矢理にでも、そういった退路を断ってしまうことをオススメします。

成功のためには、時にそれくらいストイックになることも必要なのです。

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