以前、事業を進めていく過程において、順調な時期もあれば、当然うまくいかない時期もあるという話をしました。
波があって当たり前ということです。
そして、その波の谷(ボトム)の部分、すなわち、うまくいっていない時に、その状況に対して過度にネガティブなこだわりを持ち、徹底抗戦するような姿勢で対峙してしまうと、必要以上に疲弊するのみで、良い結果にならないことも多いといった旨、言及しました。
腹をくくり、時間が解決してくれるのを待ちながらじっとやり過ごす、といった対応も、時には必要であるということです。
※参考 →「波があって当たり前」
上のページでも触れていますが、つまりは、悪い時があるから良い時がある、ということなのです。
かなり前の話になりますが、とある医者の方から、こんな話を聞いたことがあります。
人間が本来持っている治癒能力というのは大したもので、適切な治療や処置を施せば、病気や怪我は基本的にはいつか必ず回復するものではありますが、必ずしも昨日より今日、今日より明日のほうが、良くなっているというものではないことがあるそうです。
グラフで言えば、必ずしも右上がりの状態が続くだけではないという訳で、回復の過程においては、一時的に悪い方向へベクトルが向く、すなわち、右下がりになることもあるということなのです。
要するに、ここでも波があるということなのですが、それは間違いなく「状態が変化している」ということであって、決して悲観的に捉える必要はなく、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、結果として少しずつ回復に向かっていくというケースが、少なからずあるものだという話です。
そして、治療を続けているのに、何故か状態が悪くなってしまったと落胆している患者さんには、そんな話をして励ますのだそうです。
「病は気から」と言いますが、それは本当であり、やはり最終的には患者さん自身の「治りたい」という気持ちが大変重要になってくるそうです。
言うは易く行うは難し
とはいえ、「ビジネスなど、物事には波があるのも分かるし、腹をくくってじっとやり過ごすといった対応が最も効果的であるケースが存在するということも分かる。ただ実際、うまくいかない時には慌ててしまったりするものだし、そんなすべてを達観したような境地に達することは、なかなか難しいのではないか…」といった声が多くあることも事実です。
「言うは易く行うは難し」で、人間、そのような芳しくない状況に陥った時には、決してじっとなどしていられず、何とかしてそれを打破しようと、四苦八苦しながらあくせく動いてしまうものだ、という訳です。
確かに、それも無理からぬ話です。
では、どのように考えたら、徹底抗戦するような姿勢を取らずに、腹をくくってやり過ごす、などといったことが可能になるのでしょうか。
今の状況が終わりではない
恐らく一番必要となるのは、「今の状況を放っておいても、それが未来永劫続く訳ではない」という認識を持つこと、いわば開き直りです。
要するに、決して、今の状況が終わりではないのです。
少し落ち着いて見方を変えて、世の中の事象や物事を広く見渡した時、それらのすべてに終わりがないということに気付くはずです。
これで完全に終わりというもの、それ以降、何があっても絶対に様態が変化しないものなんて、この世の中にあるのでしょうか。
この世の何もかもが途中のプロセスであって、たとえ放っておいたとしても、すべては何がしか変化していくものであると考えることは出来ないでしょうか。
ただのいちプロセスである、という考え方
つまり、今対峙しているうまくいっていない状況、芳しくない状況というのも、大きな流れの中における一つのプロセスでしかないのです。
今の悪い状態が、未来永劫続くことは決してありません。
今というその部分だけを切り取って見てしまうから、ネガティブな思考が頭をもたげるのです。
「成功に向けたただのいちプロセスに過ぎない」「次に来る波(山)の前にある谷(ボトム)でしかない」と大きな視野で考えることが出来れば、自ずと悪あがきはせずにじっとやり過ごすことが出来るのではないでしょうか。
そして、そう考えて前を向いていれば、「あの谷があったから、今の成功がある」と思える日が、必ずやって来るはずです。
良いことも悪いこともすべてがプロセス
ただし、これは逆のことについても言えるのであって、つまりは同じように、うまくいっている状況が未来永劫続くこともありません。
起業して、成功と思える状況に身を置くことが出来たとしても、5年後、いや1年後、もっと極端に言えば、明日、どうなっているかは誰にも保証出来ないのです。
良いことも悪いことも、すべてがプロセスであるということ。
すべてが繋がって、今があるということ。
そして、その「今」ですら、「未来」に向けたいちプロセスでしかないこと。
確実に言えるのは、ただそれだけです。
※参考 →「困難な状況に陥った時の考え方」 ここでは、たとえ困難やトラブルであろうが、成功までの過程においてはそれも重要なファクターであるとして、ほぼ同様の考え方に言及しています。ぜひ併せてお読みください。