ビジネスを進めていくと、しばしば芳しくない事態や、予想だにしなかった状況に直面します。
…というより、ビジネスなど、もはやそういったことの連続であると言っても過言ではない、決して一筋縄では行かない、やっかいなものなのかもしれません。
成功に向け、順風満帆で何事もなくひた走れることなど、まずあり得ないのです。
要するにその「芳しくない事態や、予想だにしなかった状況」というのは、当サイトで何度も触れてきた通り、経験してしかるべき、当たり前の困難や壁だったりするのです。
※参考 →「波があって当たり前」 →「すべての事象はプロセスである」
言い換えれば、それはもはや、自然の摂理みたいなものです。
そして、過去の多くの起業家たちが、同じような困難や壁に何度も直面することで、試行錯誤や紆余曲折を伴いながら、有効な解決策を学んできました。
ビジネスにおいて、これをしてはいけない、あれをしてはいけない、といった禁じ手(タブー)や、こういう時はこうするべき、ああいう時はああするべき、といった常套手段は、そうやって出来上がってきたのです。
大変な語弊があるかもしれないという可能性を恐れずに言うと、起業コンサルタントや経営コンサルタントなんて、突き詰めて考えれば、そういった先人たちが経験によって蓄積してくれたノウハウを、知識として吸収し、さらにそれを自らの経験と照らした上で、偉そうに指南しているだけです。
そして、こちらも語弊はあれど、ビジネスの担い手が、それを教わって、その通りにやってみることなんて、極めて簡単なことなのです。
つまり、困難や壁に直面した際に、言われた通りの常套手段や解決策を講じるだけなら、誰だって出来るのです。
もちろん、だからといってそれを否定するものでは決してありません。
それにより、その状況から脱出出来てしまうことだって往々にしてあるからです。
コンサルタントが逐一教えられないこと
では、ビジネスを進めるにあたっては、いったい何が難しいのでしょうか?
それは、誰もが直面するような、経験してしかるべき困難や壁を、「次に活かす」ということなのです。
困難を解決して終わり、壁を乗り越えて終わりでは、その場限りの体験でしかありません。
それを次に活かし、知見と呼べるものにまで昇華させなければ、今後の糧や肥やしとはならないのです。
言葉にするのは簡単ですが、これが意外に、出来るようで出来ないことなのです。
そしてこればかりは、起業家自身の意識が大きく作用する側面が強く、コンサルタントが逐一教えられるものではありません。
困難や壁を認識し、コンサルタントから教わった常套手段や、書籍やWebサイトの情報から得たりした解決策を講じるのは、実は全くもって対症療法でしかないのです。
それらを根本的に解決し、成功への道をひた走るためには、それを「次に活かす」という強い意識が起業家自身になくてはなりません。
喉元過ぎても熱さを忘れない
困難や壁に直面した時、人は、その状況を打破することだけを考えがちです。
もちろん、その状況を打破することが最優先されるべきであって、それが悪いと言っている訳ではありません。
ただ、起業家たるもの、同時に、その状況や経験を活かし、最終的な成功に繋げていくということも意識して考えて欲しいものです。
そして、それが考えられるのは、今まさにリアルタイムでその状況に陥っているという、限られた時間だけなのです。
人間、都合の悪いことは特にですが、それが過ぎ去ると、何もかも綺麗さっぱり忘れてしまいがちだからです。
要するに、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」といったことわざの通りで、意識していなければ、そうなってしまうのが人間というものなのです。
悪い思い出などは、そうやって記憶が薄れていくことで、大いに助かることもあるのですが(笑)。
でも、起業家に必要なのは、決して「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ことではありません。
「転んでもただでは起きない」という不屈の精神なのです。
端的に言えば、何度も上述した通り、きっちりと「次に活かす」ということです。
そしてこれ、実は起業家のみならず、あらゆる人間についての人生全般において、極めて有用な教えかもしれません。
冒頭で言及した、「芳しくない事態や、予想だにしなかった状況に直面する」ということ、さらには、「順風満帆で何事もなくひた走れることなど、まずあり得ない」ということは、ビジネスに限らず、あらゆる人間の人生についても同じように言えることだからです。
「転んでもただでは起きない」
「喉元過ぎても熱さを忘れない」
これらを常に忘れずに実践し、どんな経験であっても次に活かすことが出来る人のみが、時を経る毎に状況を改善させ、自らも成長し続けることを可能とし、ひいては、ビジネスにおいてのみならず、人生においての大いなる成功を手にすることが出来るのです。