PDCAを何度回せるか

事業活動を円滑に進めたり、改善を重ねたりするための手法の一つとして、PDCAサイクル(plan-do-check-action cycle)というものがありますよね。

「P」(Plan)計画し、「D」(Do)でそれを実行し、「C」(Check)で実行した結果を評価し、「A」(Action)で評価した結果を基に改善し、それをまた次の「P」に活かす

そして、そのサイクルを繰り返すことで、継続的に業務や品質を改善していくという手法です。

ことビジネスにおいては、極めて基本的な考え方になりますが、実はビジネスに限らず、あらゆるシチュエーションにおいても応用が効くという、割と昔から、長きに渡って提唱されているものです。

PDCAなどという手法はもう古いという意見も実はあるのですが、その代わりに提唱されている新しい手法や方式も、突き詰めてみれば結局は、根底にある思想や基となる考え方が、PDCAのものと違いはないということが多いようです。

これ以上ここで細かく説明するには至りませんが、改めてこれを踏まえて。

PDCAサイクルは短いほどいい

さて、このPDCAサイクル、現在のように時代の趨勢がことごとく変化し、とにかくスピード感が求められるような状況においては、短ければ短いほどいいとされています。

基本的にPDCAサイクルは、1度回せばいいというものではありません。

何度も何度も反復して回すことで、改善を積み重ねていくのです。

そして当然ですが、そのサイクルが短いほど、同じ期間でもその回数が稼げることになります。

これを例えば、商品やサービスの提供という事業そのものに置き換えて考えてみると、商品やサービスを企画・開発し、販売計画を立て、作ったものを顧客に対して実際に販売し、使ってもらった感想や意見を次の企画・開発や販売計画に活かす。

これが、PDCAの1サイクルです。

そして、さらにそれを回すことによって、リピーターになってもらったり、新たな顧客を開拓したりする訳です。

つまりそう考えると、PDCAサイクルを回せば回すほど、事業における収支が上向く(要するに儲かる)ということになります。

売上を10倍にしたいのであれば、一度に10倍売れる方法を考えるというのも一つの手ではありますが、10倍のスピードでそれを繰り返すという考え方だってあるのです。

さらには、移り変わりの激しい現在において、PDCAサイクルを数多く回して改善を積み重ねることが、時代が求めるものにリアルタイムに適応し、そのスピードに追随していくことにもなる訳です。

この辺りは、以下のページにも詳しいので、ご参考までに。

※参考
→「柔軟性と敏捷性がカギ」
この中で、Webサービスなどにおける「アジャイル開発」について言及していますが、まさにこれなどは、PDCAサイクルの考え方が基になっているのです。

それは、成功までの時間が短縮されるということ

ただ、PDCAサイクルが短いほうがいいというのは、収支の向上や時代への追随だけが理由ではありません。

何より、起業家としての成長が、このPDCAサイクルを何度回せるかにかかっているからなのです。

PDCAサイクルは、そのままあなたの経験値になるからです。

事業を軌道に乗せ、自身の成長を早め、成功という目的までの時間をより短縮するには、とにかくPDCAサイクルを数多く回すことが重要なのです。

あなたが、毎月PDCAサイクルを1回転させることが出来るのであれば、1年で12回転というペースになります。

もし、このサイクルを2週間に短縮することが出来れば、その倍以上のペースになりますよね。

それはイコール、あなたの成長スピードが倍以上になるということです。

さらにそれは、成功という目的へ到達するためにかかる時間が、半分以下になるということなのです。

商品やサービスの質を高めるために、じっくりと腰を据え、時間をかけて考えに考え抜く、ということは大事です。

ただ、今の時代はそれ以上に、とにかくスピードを重視して回数をこなすということのほうが、大事になっているのです。

今一度そんな観点からも、自らの事業(あるいは事業計画)を、冷静に俯瞰してみてはいかがでしょうか。

CAPDoとは

さて、このPDCAサイクル、現在では上述した通り「古い」とか「使えない」とかいった意見もありますが、ビジネスに限らず、物事を円滑に回すために改善を積み重ねていく手法としては、不変の理論であると考えられます。

何故なら、語弊を恐れず、すごくシンプルに言ってみれば、「やること決めて、やってみて、その結果をまた次に活かしましょう」という、もはや当たり前のことを意味しているに過ぎないからです。

それでも「古い」とか「使えない」などと評価する方の中には、「目に見える効果が表れない」といった理由を挙げる人がいます。

しかしながらそれは、PDCAサイクルの回し方や運用の実態に問題があることが多いようです。

最も見受けられるケースは、PDCAの「P」(Plan:計画)が十分に行われないまま「D」(Do:実行)に突入するため、アウトプットが曖昧で、「C」(Check:評価)をきちんと行うだけの材料が満足に揃わず、故にそれに続く「A」(Action:改善)もままならない…という状況です。

その場合、多くは実態として「P → D → P → D …」と、計画と実行を繰り返すことのみに終始する羽目になり、さらには、ただひたすら「D → D → D → D …」と、実行を繰り返すのみになっていきます。

この状況に陥ってしまう原因はいくつか考えられますが、概ね、最初の「P」を考えるのが一筋縄では行かず、決して容易ではないといったところに起因しているようです。

端的に言えば、何をしていいのか(何を計画すればいいのか)がよく分からない状態であることが多いのです。

そのため、「P」のプロセスに時間と労力を割きすぎてしまい、結果、それが十分でないまま先に進まざるを得ない…という訳です。

この場合は、PDCAという順番にこだわらず、「C」を現状分析やその把握と捉えて、「CAPD」という順番で行ってみると良いとされています。

つまり、まず「C」で現状分析を行い、そこで浮き彫りになった現在抱えている問題や課題を基に、「A」で何をすべきかを立案・整理することで、次の「P」を考える…といった流れになります。

こうすれば、割とすんなり「P」すなわち計画が立てやすく、しかも、現状の問題や課題を基にした極めて有益なものが出来上がるという訳です。

実は今や、この一連の流れは、「CAPDo」(キャップ・ドゥ)という改善サイクルとして、広く世間でも謳われるようになりました。

「CAPD」だと「持続携帯式腹膜透析」(Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis)といった医療用語になってしまうため、「CAPDo」とされることが多いようです。

PDCAでなかなか効果が表れないようなら、その改善サイクルの運用実態を見直してみるのと同時に、プロセスの順番を変え、まずは現状の分析と把握から始めてみる(すなわち「CAPDo」で回してみる)…というのも、十分一考に値するのではないかと思います。

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