IT業界で起業を志す方へ

運営者情報」を見ていただくと分かるのですが、私は25年来、IT業界に身を置いていたこともあり、世の中のあらゆる分野や業界において、右を見ても左を見ても「IT化」「IT活用」「ITによる効率化」…などと騒がれていた時代を、その最前線で目の当たりにしてきました(ちなみに、IT業界に足を踏み入れた最初の頃は、実はまだIT(Information Technology)などという言葉すら一般的ではありませんでした)。

その経験によって、様々な業界に広く精通することが出来たとも言えるのですが、やはり自らがビジネスの戦場としていたIT業界そのものにおける知識や経験に関して、一番の自信があるのも確かです。

現在でも、社会生活の様々な局面やビジネス上のあらゆる分野におけるIT化の波は一向に留まる気配を見せず、今や「IoT」(Internet of Things、モノのインターネット)などという概念まで登場しているほどです。

すなわち、PCやモバイル機器などに限らず、生活の中に存在する物体のどれもこれもが皆インターネットに接続され、通信を行うような世の中になりつつある中で、IT業界に対する世間の注目や関心の度合いは、衰えるどころかますます加速しているのが現実です。

そういった状況において、「ITでもっと世界を変えよう」「ITでもっと住みやすい世の中にしよう」、そして「自らもITで大きな成功を手に入れよう」…などといった素晴らしい夢を持って、IT業界で起業に踏み切る方もどんどんと増えてきました。

※ここでいうIT業界とは、相当な広義であると解釈していただいて結構です。

そういう意味では、クリエイターやプログラマ、システムエンジニアやインフラエンジニアなどといった技術者の方々による、各種ITシステムやネットワークの構築・開発などに携わる仕事のみを指すのではなく、当サイトでもたびたび触れているアフィリエイトを始めとするネットビジネスなども含まれる、非常に大きな概念であるとお考えいただいて、何ら問題はありません。

ただ、例えばアフィリエイターの方すべてに対して、これからお話しすることがそのまま当てはまるか、あるいはそれらすべてを求められるか、と問われれば、少々厳しい部分もあるのですが…。

それはともかく…。

そんな、IT業界における起業家が急激に増えている昨今、その方たちと一緒に業界全体をもっともっと良くしていきたい、そして、快適で働きやすい熟成された環境を創り出したい…といった思いから、ある種の提言を試みるというのが、実は当記事の趣旨なのです。

IT業界はまだまだ若く、未熟である

語弊を恐れずにあえて言えば、IT業界は、まだまだ非常に若い業界です。

諸説あることは承知しつつも、昨今のコンピュータテクノロジーや、インターネットを中心とした世界観を主眼に置いて考えれば、せいぜいここ数十年といった歴史しかありません。

そこは、何百年といった歴史のある製造業や建設業、はたまた何千年以上もの歴史を持つ農業など、ある意味で成熟し、確固たる仕組みやメカニズム、それらに伴う由緒ある伝統が存在する業界とは、絶対的に異なる部分です。

それ故、まだまだ未熟で、改善の余地がたくさんある業界であるとも言えます。

例えば、そこで働いている人々の対価(要するにお給料)一つとっても、決してまだまだ満足出来る水準ではありません。

巷では、IT業界は総じてきついとか、厳しいとか、あまり家に帰れないとか、にも拘わらずサービス残業が多くて給料は安いとか、人をこき使うブラック企業ばかりが居並んでいるとか…。

そんなネガティブなイメージがまことしやかに囁かれています。

注目を集めている業界だけに、そういったネガティブな内容だけがメディアなどでことさら取り上げられ、どんどん先走って、深刻なイメージとして定着してしまった感は拭えません。

決して、すべてのIT企業や、すべてのプロジェクト現場において、そういった状況である訳ではないのです。

ですが一方で、それらを100%否定出来ないというのも、歴とした事実です。

要するに、確かに厳しい面はあるし、確かに家にもろくに帰れないきついプロジェクトは存在するし、確かにサービス残業ばかりで従業員を使い捨てるようなブラック企業も実在する…というのが、紛れもない現実なのです。

そしてそこには、そうでもしないととてもではないが利益など捻出出来ないという、深刻な経営事情があるのです。

背景にはまず、形のないもの、目に見えないものに値段をつけることが非常に難しいという側面があります。

逆に言えば、形ある部分、目に見える部分のみが評価され、その裏で動いている最も重要な部分については、正当な値付けがなされないのです。

それは具体的には、ITシステムやソフトウェアの根幹部分、すなわち、意図を実現するためのロジックやアルゴリズムといったものです。

目に見えない知的財産の部分と言ってもいいかもしれません。

この部分、昔はステップ数などといって、プログラムの大きさを測る単位があり、その大小で評価が決まっていました。

端的に言ってしまえば、大きなプログラム( = ステップ数の大きいプログラム)であればあるほど、値段が高いものとなっていたのです。

プログラムが大きければ大きいほど、作成に時間がかかるものだし、それ故、より凄いことが実現出来るだろう…という、単純な発想に基づいた図式が燦然と成り立っていたのです。

いわば、目に見えないもの( = 凄いこと、価値)を目に見える形( = プログラムの大きさ、作成にかかる時間)で測るという、苦肉の策だったと言っていいでしょう。

今でも、その名残りによって、プログラムやシステムの作成(開発)に費やされる時間によって対価が決定される仕組みが、そこここで採用されています。

ですが、極端な例で考えてみれば、例えば他の会社が10000ステップのプログラムを1ヶ月かけて作成しなければ実現出来ないようなことを、わずか100ステップのプログラムと1週間という期間で実現出来るような会社があったとしたら、その会社の技術力のほうが優れていると評価するべきだし、対価としてもその会社により多くを与えるべきでしょう。

確かに、プログラムの大きさや費やした時間といった定量的な評価軸ではなく、そういった定性的な評価で対価を決定する(要するに、いわゆる「値付け」を正当に行う)というのは、非常に困難な問題ではあります。

それはもちろん、当事者によって、あるいはその時々の状況によっても、評価基準が大きく異なってくるという事態が発生するからです。

それ故、結局は、分かりやすい定量的な評価軸が採用され、その結果、実際の価値よりもことさら低く値付けがなされてしまうというのが多くの現実であり、そしてそれが業界全体の標準(金額水準)となって定着してしまったという面が少なからずあるのです。

さらにそこには、発注者や元請けによる不当な値引要求下請けいじめが、まだまだまかり通っているということも、この問題を助長させる見過ごせない事実として存在します。

そうすると、仕事を請ける側の経営者としては、原価(要するに従業員の給料)を低く抑えながら、より多くのものを生み出す(要するに長時間働かせる = 残業が発生する)という構造によって、利益を確保するしかなくなるのです。

活力ある起業家の力が必要です

いずれにせよ、IT業界においては、生産物に対するそもそもの評価といった部分において数多くの問題が残されており、それを劇的に改善するためには、十分な検討と試行錯誤がまだまだ必要であると考えられています。

少なくとも、そのシステムやプログラムの大きさ、あるいは費やした時間などで評価が決定するのではなく、そのものが持つ本来の「価値」を正当に評価し、それによって対価が支払われるような方向に、進むべきでしょう。

※参考
→「価格設定は買い手側の論理で
「買い手側の論理で」というと何だか買い叩かれるようなイメージがありますが、買い手やクライアントが享受する「価値」に基づいて正当な価格設定がなされるべきであるということです。

その上で、技術者を中心としたそこに携わる人々の価値も正当に評価され、給料水準ももっと引き上げられ、活きのいい若者がどんどんIT業界を志望してくれるような、そんな魅力的な業界にしていくことが、今後の発展のためにも重要になるはずです。

そうすれば、上述したようなネガティブイメージなどいずれ払拭され、真に働きやすい環境が創出され、テクノロジーが進化するスピードもより加速するに違いありません。

もちろん、口で言うのは簡単ですが、全くもって一筋縄ではいかないことです。

しかしながら、それを実現することは、IT業界に携わる人間としての、大きな使命であるとも思うのです。

そしてそこに、IT業界で起業を志し、大きな夢を胸に日々驀進する活力を持った、多くの起業家の皆様の力が必要になってくることは、もはや間違いがないのです。

IT業界に携わり、そこで成長させていただいた人間として、私はぜひ、そんな起業家の皆様と一緒に、IT業界を盛り上げていきたいのです。

面白くてたまらない、抜けられないのがIT業界

さて、改めて申し上げますが、IT業界は、若いが故に未熟で、問題の多い業界です。

成熟するまでには、まだまだそれなりの時間がかかるでしょう。

ただそれは、裏を返せば、それだけ可能性の余地が残されているということです。

インターネットが登場した時のような衝撃が、再び起こることもあるでしょう。

そうなればまた、雨後の筍のように次々と、新たなIT関連ビジネスが生まれてくるでしょう。

だからこそ、面白くてたまらない。

一度はまってしまうと、もう抜けられない。

このワクワクは、誰にも止められません。

…それがIT業界なのです。

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