成功者は「休みなんか必要ない」とは口走らない?

真の成功者は、「休みなんか必要ない」などということを口走らないという話があります。

休みなんか必要ないというのではなく、それを口走らない、要するに休みが必要だという訳です。

なんだか逆説的な言い回しに聞こえますが、これはいったいどういうことなのでしょうか。

のみならず、もっと極端に、「成功したければ働いてはいけない」とまで仰る人もいます。

これなどは、興味を惹くためのキャッチというか、まさに逆説的なことを強調することによるインパクトを狙ってのことでしょうが、それにしてもその真意はどこにあるのでしょうか。

長時間働くことや睡眠時間を削ることとはまた別の話

似たような話題は、過去にも当サイトで触れたことがあります。

※参考
→「起業家が長時間働くのは必然か
→「睡眠時間を削って仕事をすることが、起業成功のための必須要件か

しかし基本的に、長時間働くということと、休みを取らないということは、イコールではなく、切り分けて考えるべきです。

ましてや、睡眠時間を削って仕事をすることが、必ずしも良い結果を生むとは限らないでしょう。

ですが、成功者は「休みなんか必要ない」とは口走らない、といった話に隠された意味は、どうやらそういうことではないようです。

バランスを保つことの重要性

ワークライフバランス(仕事と生活の調和)などという言葉が生まれたように、昨今はとかくバランスというものの重要性が謳われています。

仕事とプライベートのバランス、集中と息抜きのバランス、といった具合です。

真の成功に近づくためには、こういったバランスを絶妙に保つことが大事であると言われています。

要するに、適度にプライベートを充実させたり、息抜きをしたりすること(OFF)が、より効率的な仕事や集中(ON)に繋がり、良い結果をもたらすという訳です。

本質について思考を巡らす

また、休んでいる間に行う思考こそ、仕事で成功するための秘訣であるという考え方があります。

要するに、仕事や人生の本質について、どれだけ深く考えたか、どれだけ熟考を重ねたかが、成否に大きく関わってくるという訳です。

ともすれば哲学や人間学といった専門的な話になってしまいそうですが、そこまで難しく考えなくとも、自らの仕事観や人生観を養うような思考をじっくりと巡らすことが、成功のためにはとても重要であるということでしょう。

そして、そういった思考を巡らすことは、確かに、仕事の手を休め、腰を据えて十分な時間を取らないと、なかなか実践出来ないものなのかもしれません。

休むことも仕事の一環である

こうやって諸説に耳を傾けてみると、どうやらどれも、仕事(ON)を中心に据えた主張であることが分かります。

言い換えれば、息抜きをしたり思考を巡らせたりすること(OFF)が、すべて仕事(ON)に繋がっているという考え方です。

もっと言えば、OFFもONの一環であるということです。

つまり、休むことも仕事の一環であるという究極の考え方なのです。

すべては仕事のため

キングカズこと、サッカーの三浦知良さんといえば、以前にも当サイトで情熱と努力がイノベーションを巻き起こした例として取り上げました。

※参考
→「イノベーションに必要なのは才能なのか

まさに真のプロフェッショナルと呼ぶべき三浦さんですが、彼は、生活におけるあらゆることがすべてサッカー(仕事)に繋がっていると言います。

休むことも仕事寝ることも仕事食べることも仕事。そうハッキリと言い切るのです。

それ故、十分な休息や睡眠を心掛けているのはもちろんのこと、食事の栄養バランスやカロリーなど細部に至るまで、神経質過ぎると思われるほど徹底的に管理しています。

単にストイックといったレベルではありません。

すべては、サッカー(仕事)のためなのです。

実はこれが、成功者に必要な考え方なのではないでしょうか。

「休みなんか必要ない」と口走る成功者も?

さて、成功者は「休みなんか必要ない」などとは口走らないというのは、つまるところ、「休み」というものが結局は仕事に通じているという、そんな感覚が故に生まれてきた話なのでしょう。

ところが、実際の成功者の中には「休みはいらない」「むしろ休んだほうがストレスが溜まる」「ストレスは仕事をすることで発散する」といった逆のことを言う人も、意外に多いものです。

というより、大きな成功を成し遂げた人に対する一般的なイメージというのは、むしろこちらのほうが強いかもしれません。

ただ、こういった人たちは、そう言いながらも、実は休んでいない訳ではないということもままあるようです。

どういうことでしょうか?

ただ、本人に「休んでいる」という自覚がないだけです。

休むことですら、仕事のためだからです。

あるいは逆に、仕事を労働であると感じていないからです。

仕事と休みの境目という概念がないと言ってもいいかもしれません。

そう考えると、逆のことを言っているようで、根底にある感覚や考え方には、実はやはり共通のものが認められるのではないでしょうか。

年末年始に様々な思いを巡らす

とはいえ…です。

現実問題として、十分な休みに充てる時間など取れないのだから仕方がないと、もはや諦念しか持ち得ていない起業家の方も多くいらっしゃるかと思います。

「休みなど必要ない」とまでは言わないが、他の人が休んでいる時こそ、差をつけるチャンスと捉えて、事業に専念しなければならないと考えている起業家や経営者も多いはずです。

それはそれでしかるべきですし、決して否定出来るものではありません。

しかし、そんな方であっても、例えば年末年始くらいは、一息ついてみるというのはいかがでしょうか。

私は単純に、「せっかくの年末年始なんだから休め」「正月休みくらいは取れ」「餅を食って酒を飲め」(笑)といったことを申し上げたい訳ではないのです。

あの、年末年始における世の中の独特の雰囲気、すなわち、過ぎ去った1年に対する惜別の念と、来る新しい年に対する期待や不安とが入り交じった、何とも言えない世間の空気感のようなものが、起業家として改めて自分自身を見つめ直すための、この上ない環境を作り出しているものと考えているのです。

上述した、「成功のために、自らの仕事観や人生観を養うような思考をじっくりと巡らす」ことをするためにも、そういう世の中の雰囲気や新しい年を迎えるリセット感などが相俟って、非常にいい機会となるはずなのです。

べったりと休みを取らなくたって構いません。

仕事の合間に、年末年始の世間の雰囲気や空気感に乗じて、自らの人生について様々な思いを巡らせてみるだけでもいいのです。

やはり、ともすれば少し人生哲学や宗教的な話になってしまいそうなのですが(笑)、そういった「少し立ち止まって考える」という時間が、起業家にとってどれほど大事なものであるかということを、多くの起業家を見てきたり、自分自身で経験したりする中で、私は痛感しているのです。

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