努力や苦労を言い訳にしない

コツコツと努力を積み重ねることの重要性は、私自身も非常にプライオリティの高いものとして捉え、常日頃からことあるごとに謳っています。

そしてこのことは、起業家に対してのみならず、あらゆる人たちに対して、さらには自戒の念を込めて、意識して訴えるようにしているのです。

当サイトにおいても、あらゆる箇所でしつこいくらいに言及しているかと思います。

それは、そもそもビジネスの基本が、堅実な努力をコツコツと積み上げることで利潤を生み出していくものであるということ、それ故、起業家の現実は、コツコツと泥臭い努力を積み重ねるしかないことが大概であるということ、それらの理由からなのです。

アリとキリギリスの話

ところで、コツコツと努力を積み重ねることの重要性を謳った寓話としては、イソップ物語の「アリとキリギリス」が有名ですね。

この話、いくつかの結末が存在することもあり、様々な教訓が含まれているものとして、論じられることがあります。

それ故でしょうか、今なお世界的にも、あらゆる状況や場面において例として挙げられ、熱い議論の対象となったりしています。

日本では、「働かざる者、食うべからず」の一言で片付けられてしまうことも多いようですが(笑)。

ただ、どの見解にも共通して言えることは、歌ってばかりいる怠け者のキリギリスとの対比として、来るべき冬に備えて夏の間にコツコツと食べ物を貯め込むアリをフィーチャーすることによって、勤勉で努力家であることの大切さを説いているところです。

余談ですが、元々のイソップ寓話では、アリとキリギリスの話ではなく、アリとセミの物語だったそうです。

なるほど、夏の間に歌っている(=鳴いている)虫といえば、日本でもキリギリスよりセミのほうが、より馴染みがありそうですね。

また、「歌ってばかりいる怠け者のキリギリス(あるいはセミ)」などと取り上げられることで、歌うことを生業としている歌手や声楽家などの中には気分を害される方もいらっしゃるかもしれませんが、実際、そこに焦点を当て、「(死に瀕する状況になるまで)歌という自分のやりたいことをやり尽くした」というキリギリス(あるいはセミ)の生き方は、ただ働くだけのアリよりも、自分に素直で素晴らしい、と評価する向きも存在するようです。

努力を言い訳にする起業家たち

さて、少し話が逸れた感じはありつつ(笑)、イソップ物語の例まで出して勤勉や努力について論じ始めたのは何故かと申しますと、昨今、そこを言い訳(あるいは「逃げ道」「隠れ蓑」と言ってもいいかもしれません)にしながら、結局は、結果が芳しくないことを嘆いているだけの起業家の方を、立て続けに見受けたからです。

要するに、

「こんなに努力しているのに…。」
「ここまで頑張っているのに…。」

といった類いです。

さらには、それによって結果が出ないどころか、その努力や苦労を誰も評価してくれないことまで嘆き、悲しんでいる起業家さえ存在します。

確かに、冒頭でも述べた通り、あるいは「アリとキリギリス」の寓話でも語られている通り、コツコツと努力を積み重ねることは非常に重要であり、成功するためには何事においても基本となる大切なことです。

ただ、それをやっていれば無条件で結果が出るというものではありません

至極当たり前のように聞こえますが、それすら忘却してしまっている起業家の方が、実際に存在するのです。

2点の基本を改めて認識する

それ故、非常に基本的なことではありますが、そのような方には以下の2点を改めて提言するようにしています。

一つは、努力というものは、起業成功に向けた絶対的な条件ではあるものの、それは必要条件であって、十分条件ではないということ。

言い換えれば、起業家としてコツコツと努力することは当然すぎるくらいに当然のことであって、それ自体は決して評価や称賛になど値せず、結果がすべてだということです。

もう一つは、どんなに努力しても結果が出ないということは、そもそもその努力の内容や方向性が誤っている可能性があるということ。

極めて当然のことですが、どんなに量をこなしても結果として表れてこないということは、その「質」に問題があるということです。

あるいは、その努力の先にあるものが、自分の望んでいる結果ではないということ、要するにベクトルが間違っているということです。

以上2点、あえて起業家の方に向かって口に出すことすらはばかられるくらい、本当に基本的なことです。

しかしながら、自分の努力や苦労に惑わされ、あるいはそれに安心してしまい、その極めて基本的なことすら見えなくなってしまっている起業家というのが、決して少なくはないというのが現実なのです。

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