リスクゼロはあり得ない

「リスクなしで新規事業を成功させるための手法」

「リスクゼロで起業して、人生を豊かにする方法」

「これで、あなたの起業もノーリスク!その画期的なノウハウとは?」

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今の世の中において、書籍を始めとした各種ツールやセミナーなどにおける、この手のキャッチコピーを探せば、いくらでも見つけることが出来るというのが現実です。

そして、今まさに起業を考えている方であれば、昨今のこういった文言には、大いに魅力を感じてしまうものです。

もっとも、こういった文言が流布しているのは昨今に限ったことではなく、実は昔から謳われてきたものではあるのですが、インターネットの普及もあってか、最近は頓に溢れ返っていると言ってよいでしょう。

生きることにはリスクが伴う

明確に言っておきますが、起業において「リスクゼロ」はあり得ません

魅力的なキャッチコピーに、ただ踊らされてしまってはならないのです。

そのことはあらかじめ強く肝に銘じておいたほうが賢明です。

最も、リスクゼロがあり得ないというのは、サラリーマンとして会社組織に属していたって同じことです。

今やサラリーマンであっても、給料やボーナスがカットされるというリスク、ひいては会社が倒産したり、リストラという名目で会社から切って捨てられてしまったりといったリスクが、決して小さくはなく、例え大企業であっても安心は出来ないという事実は、当サイトのあらゆる箇所でも触れている通りです。

要するに、この世でビジネスに携わって生きていくということは、サラリーマンであろうが起業家であろうが、どんな状況であっても多かれ少なかれリスクを伴うものであるということです。

そして、資本主義である限り何らかの形で(直接的にであれ、間接的にであれ)ビジネスに携わることからは基本的には抜け出せない訳で、つまるところ結局は、この世で生きること自体がリスクとは切り離せないものであるということなのです(…と言ってしまっては身も蓋もない気もしますので(笑)、以下、再び対象を「起業」に限定します)。

リスクをゼロにするのではなく、最小限にする

ただ、起業において、リスクをゼロにするのではなく、「最小限にする」ということは可能です。

可能であるどころか、リスクを最小限にするということは、起業家にとっては必須とも言うべきアクションであり、成功のためには避けて通れないプロセスなのです。

冒頭に挙げたキャッチコピーや、それに類する文言の中には、決して悪気がある訳ではなく、「リスクを最小限にする」ということを心情に訴え、広告としての効果を最大限発揮するために、あえて分かりやすく「リスクゼロ」と謳っている場合もあるでしょう(その是非については様々な見解がある上、そもそもここで言及する内容ではありませんので触れないでおきますが)。

要するに、リスクをゼロにするのではなく、リスクを少しでも小さくするための手法やノウハウを学ぶというつもりで、初めから割り切ってそういったツールやセミナーに触れてみるのは、大いに有益な場合もあるかもしれません。

その手法やノウハウが、法に触れるなどの極端な内容でない限りは、何かしらの気付きや今後を見据えた戦略を得ることに繋がる可能性があるからです。

リスクを自覚することは、リスクマネジメントにおける第一歩

一般的に、リスクがあることを自覚し、それを想定することは、リスクマネジメントにおける最初の一歩です。

リスクマネジメントは、まず「リスクアセスメント」を行った上で「リスク対応」を実施するといった手順が普通ですが、そのリスクアセスメントとは、「アセスメント」(査定・評価)という言葉の通り、リスクを特定し、分析し、評価するといった、要するに「リスクを知る」ためのプロセスで構成されているからです。

起業におけるリスクマネジメントでも、もちろんそれは全く同じです。

そして、想定されるリスクに対して、事前対策を講じておくことが特に大事なのです。

問題なのは想定外のリスクであり、起業においても、全く想定していなかった内容のリスクによって、予期せぬ事態が発生することはままあることです。

しかし、そういった際にも、何かしらの「リスクがある」ということをあらかじめ自覚していた場合とそうでなかった場合とでは、初動のスピードを始め、対応に大きな差が出てしまうものです。

「リスクゼロ」などと考えていることが、最も危険であるということです。

起業においてはとにかく、リスクゼロなどという妄想を抱かず、必ずリスクが伴うということを自覚すること。

そしてそれをゼロにするのではなく、最小限にするために、日々尽力するということを怠らないこと。

これらをしっかりと心に留めた上で、リスクを必要以上に恐れることなく、成功に向けて邁進していただきたいと思います。

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