理想と現実の狭間で

何かと何かの間で板挟みになっていて、とても息苦しいという状況は、どなたにもご経験があるのではないでしょうか。

「何か」というのは、家族だったり、恋人だったり、友人だったり、上司だったり、部下だったり…はたまた、組織だったり、環境だったり、その時々の状況だったり…場合によって本当に様々です。

例えば私の友人は、妻と自分の母親の折り合いが悪いという、いわゆる「嫁姑問題」に、結婚以来常に悩まされています。

どちらかの言い分が明らかにおかしいとか間違っているとかであればいざ知らず、友人の立場としては、どちらの言っていることもよく理解出来るといったケースが多く、それ故、一方の肩を持つという訳にもいかずに、まさに文字通り板挟み状態でいつも悶々としているんだそうです。

基本的にそういった板挟みの状態というのは、当事者にとって、息が詰まるような苦しさと居心地の悪さを感じるものでしかありません。

友人の悩みや苦しみは如何ばかりかと察するに余りありますが、それでも未だ有効なアドバイスも何も出来ていない私がいます(笑)。

とはいえ、この「嫁姑問題」、古くから多くの男(夫)たちを悩ませてきた歴史ある問題ですから、かくして私のような者に効果的なアドバイスなど示せるはずもなく、友人には悩み続けていただくより他ないようです(笑)。

二兎を追うものは一兎をも得られない

さて、「二兎を追う者は一兎をも得ず」「虻蜂取らず」などということわざもあるように、そういった板挟み状態において、どちらも傷つけることなく…とか、両方の顔を立てて…などといったことは、基本的には困難である場合が多いのでしょう。

なおかつ、自分に降り注ぐ火の粉やとばっちりもなるべく最小限に抑えて…などと考え始めると、それはもう、正解のない問いに対して手探りで解を求めているかのごとく、私の友人のように、毎日悶々と苦悩することになるのかもしれません。

こういった場合、もはやどちらかが潰されて決着がつくまで、黙って見届けるしかないのでしょうか?

あるいは、憤死覚悟で飛び込んで、自らが犠牲になるしかないのでしょうか??

起業は理想と現実の板挟み

ところで、起業家はよく、理想と現実の狭間で苦しむものであると言われます。

成功している著名な起業家の方々においても、インタビューなどでそのような旨をおっしゃることは多いようです。

確かに、夢や目的という自らの理想と、収支や家族の生活といった現実との狭間で、常に葛藤しているのが、自ら事業を推し進める者の宿命であり、言い換えればそれが責任であり、特権であるとも言えるでしょう。

その狭間で悶々としつつ、自分のメンタルも含めてそのバランスの調整に苦しみながら、それでも前に進まなくてはいけない、それが起業家たるものなのかもしれません。

とかく、起業家というものは苦しみの中に身を置くように出来ているものなんですね。

考え方次第でポジティブになれる

とある著名なナレッジコミュニティ(知識検索サービス)における、私の好きなやりとりに、以下のようなものがあります。

Q:理想と現実の狭間には何があるのでしょう?

A1:喜怒哀楽です。

A2:冒険・期待・空想・夢・予期せぬ裏切り、などです。

大変面白く、ウィットに富んだ返答だといつも感心しているのですが、一方でこれは真義を突いているとも思っております。

起業家の理想と現実の狭間にも、喜怒哀楽があると考えれば、そういった人間模様の只中にいる自分が誇らしくなって、かつ人生自体の面白さをそこに見出すことが出来るのではないでしょうか?

また、起業家の理想と現実の狭間にも、冒険や期待、空想や夢、はたまた予期せぬ裏切りがあるとあらかじめ強く認識しておけば、良いことだろうが悪いことだろうが、何が起こっても割り切って冷静に受け入れ、前に進むことが出来るのではないでしょうか?

明確な解決策なんて存在しない

要するに言いたいのは、こと人間は何かと何かの狭間で常に板挟みになって苦しんでいるものであり、それを認識するだけで、その苦しみが多少は和らぐのではないかということです。

また、その狭間に何があるのか、多少なりとも自ら考えることで、そこに自分の存在を見出すことが出来て、気持ちがスッと楽になるのではないかということです。

起業家の理想と現実における葛藤を払拭してくれる、明確な解決策なんてありません。

あるとすれば、そうやって割り切ること、開き直ってしまうことくらいです。

ちなみに、嫁と姑の板挟みになっている状況の解決策もやはり同じく…そんな銀の弾丸のようなものなどないということなのでしょう。

前述した通り、長い歴史の中で男(夫)たちが悩まされ続けてきた問題である訳で、少なくとも、ここで結論が出せるようなものではありません。

ともすればそれは、起業家の理想と現実の板挟みという問題よりも、もっと難しいものなのかもしれませんね(笑)。

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