成功者は「出来ない」とは言わない?

成功している起業家は、事業を推し進めるにあたって、「出来ない」とは絶対に言わないという話があります。

ビジネス上の要求を的確に捉える洞察力、困難を改善したり解消したりする問題解決力、自らのタスクを定義する決断力、それを実行する行動力…などなどが、それだけ高いレベルにあるということなのでしょう。

だからこそ成功したのだとも言えるのでしょうが、確かに、成功者が往々にしてそういった能力が高いということについては、疑問を挟む余地がありません。

顧客や市場の真の要求に応えようとする歓待の精神(今風(?)に言うと「おもてなしの心」でしょうか。いや、もはや古いですかね・・・(笑))といったものが、常人より強いという方もひょっとしたら多いのかもしれません。

本当に「出来ない」とは言わないのか

ただ、成功している起業家が、何でもかんでも受け入れて、決して「出来ない」ということを言わないのかというと、そこは正直クエスチョンマークです。

その能力の高さ故に、対応出来る範囲も広く、難度が高いものでも対応出来てしまう、すなわち、常人には間違いなく「出来ない」と思われることでも実際に出来てしまうといったことから、総じて「出来ない」と言わないように見える、ということはあるのかもしれませんが…。

あくまで印象ですが、私は、出来ないことはハッキリ「出来ない」と明言する、毅然としたスタンスをお持ちの成功者のほうが多いように感じています。

少なくとも成功者の中に、そういった方が一定数いらっしゃることは間違いありません。

ホテルコンシェルジュ

突然ですが、もう結構前の話になりますが、ホテルのコンシェルジュをテーマにした、話題のテレビドラマがありました。

モデルであり、シンガーソングライターでもあり、女優でもあり、タレントでもあり、それでいて美人でもあるという、天は二物を与えないどころか、五物も六物も与えるのか?と疑いたくなるような、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの大人気女性だった、西内まりやさんが主演を務めていたドラマです。

そのドラマの中で、高級ホテルに勤める主人公の新米コンシェルジュが、先輩から「コンシェルジュはNOとは言うな」という教えを受け、それを愚直に守って高飛車なお客さんの無理な要求を引き受けたところ、その先輩からこっぴどく怒られるというシーンがありました。

また一方で、こちらは現実の話。とあるテレビのバラエティ番組の企画にて、実際にあった話があります。

人気のお笑い芸人さんの一人が、有名な高級ホテルにおいて、コンシェルジュに次々と無茶な要求を行ったところ、それをことごとく快諾してくれた上、中には要求以上のことまでサービスしてくれるケースもあって、思わず感動の涙を流しそうになるくらいの最上級のサービス精神を垣間見たというものです。

さて、この2つの話、これだけ聞くと双方で言わんとしているところが矛盾しているような印象も受けますが、実はここに、起業家、ひいては顧客相手にビジネスに携わる人すべてにとっての、重要な示唆(線引き)が含まれているのです。

成功する起業家は「無理」は受け入れない

実は前者は、とあるもの(花)を時間までに大量に揃えろという、在庫や時間の問題が伴って、どれだけ努力しても結局は実現不可能と思われる要求だったのです。ドラマ内では最終的に、似て非なる代替手段をもってお客さんに納得してもらうという流れでした。

後者の要求は、実は「部屋で髪の毛が切りたいからハサミを持ってきてほしい」「ATMでお金をおろしてきてほしい」「プロポーズするので花火をあげてほしい」といった、その行為自体はそれほど難解なものではなかったのです。

前者が「無理な要求」、後者は「無茶な要求」と、私が微妙に違う言い回しをしていることにお気付きになったでしょうか。

「無茶」という言葉に、若干であっても実現可能なニュアンスが含まれているのに対し、「無理」という言葉は、まさに実現は「無理」、すなわち不可能であるといったニュアンスが強くなります。

まさしくこの、「無理」と「無茶」という言葉のニュアンスの違いが、そのまま成功する起業家のビジネスにおける行動基準にも当てはまるのではないでしょうか。

すなわち、成功する起業家は、「無茶」は受け入れる

だけど、「無理」は受け入れない。そこはドラスティックに、毅然とした判断を下す。

つまるところ、起業家が成功するために、万事において決して「出来ない」と言わないことが賢明であるとは限らないと、私は考えているのです。

大事なことですので、もう一度言います(笑)。

成功する起業家は、「無茶」は受け入れるけど、「無理」は受け入れない。

これを、単に言葉の問題と片付けてしまっては、成功など到底無理ではないかと思っています。

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