足をすくい、すくわれる

起業してビジネスを進めていく過程においては、本当に色々な事態に遭遇するものです。

まるで神が、あの手この手を使ってわざわざ自分を苦しめてくれているのではないかと錯覚するくらい、大波・小波を問わず様々な波が毎日のように襲い掛かってきます。

もちろん、戦々恐々、生き馬の目を抜くような輩が跋扈している群雄割拠のビジネスの世界では、様々な世知辛い事態が毎日繰り返されるのは当たり前のことでしょう。

ただ、例えばサラリーマンとして従業員の立場でそれに臨むのとは全く違い、起業して一事業主としてそれを経験すると、また新たな景色や本質が見えてくるため、ともすれば狼狽し、混乱し、早々に疲弊して行き詰まりかねないのです。

ブルー・オーシャンなど期待出来ない中で

現在のように情報が氾濫し、数々の起業家やビジネスマンがあらゆる事業に挑んでいる状況においては、もはやブルー・オーシャン(競合がおらず、競争のない未開拓マーケット)などそう簡単には期待出来ないでしょう。

となれば、後発組としてレッド・オーシャン(競争の激しい既存マーケット)に飛び込むケースが圧倒的に多い訳で、往々にして厳しい戦いを覚悟しなければなりません。

それは単に、収支が芳しくないとか、なかなか軌道に乗らないとかいったレベルではなく、事業の根幹を揺るがしかねないような、先発組やライバルによって足をすくわれる事態が往々にして発生するのです。

あなたが少しばかり目新しいアイデアを具現化し、自信を持ってそれを商品やサービスとして公開したとしても、アマゾン川に落とされた血や肉に群がるピラニアのように、すぐにあまたのライバルたちが模倣し、あるいはさらに上を行くことで、勢いあなたを潰しにかかってきます。

インターネットはまさにアマゾン川

ネットビジネスなどをやっていると、それは本当に分かりやすく、即座に実感出来ることだったりします。

インターネットというものが、ともすれば何千万・何億・何十億といった多くの顧客と瞬時に繋がることが出来るという無限の可能性を秘めている反面、それは、それと同じ数だけのライバルとも繋がっているということだからです。

例えば、少しばかりあなたが優れたWebサイトを作成し、運良くそれなりの収益を得られたとしても、すぐさまライバルが同様のサイトを公開してきます。

さらには、あれよあれよという間に似たようなサイトが乱立することになって、あなたのWebサイトなど、数あるうちのただの一つとして、早々に埋もれてしまうのです。

ちなみに、先ほど比喩として触れたアマゾン川ですが、世界最大規模の流域面積を誇り、まだまだ謎や危険も多く、未知の世界の象徴ともされているというのは、よく知られているところです。

まさにインターネットは、未知の可能性を開拓するために繰り出す人は多かれど、一歩間違えれば命を落としかねないという、アマゾン川そのものなのです。

今や世界的な通販サイトとして誰もが知っているアマゾン(amazon.com、日本ではamazon.co.jp)は、やはりこのアマゾン川にちなんでいるそうですが、それにしてもうまく名付けたものです。

平和主義だけでは生き残れない

さて、ライバルがあなたの足をすくおうとしてくるということは、逆に言えば、あなたがライバルの足をすくうことだって可能なはずです。

それがたとえ純然たるレッド・オーシャンで、あなたが新参組であったとしてもです。

言い換えれば、ライバルはライバルで、足をすくわれないようにあなたを警戒してくるはずなのです。

「足をすくう」というと「卑劣なやり方で」といったニュアンスが含まれるので、ともすればあまり正確な物言いではないかもしれませんが、ただ、本来の意味である「相手のスキを突いて」ということであれば、何も問題はないはずです。

ビジネスは、スキの突き合い食うか食われるかの真剣勝負の世界だからです。

起業家たるもの、平和主義だけでは、厳しいビジネスの世界で生き残ることは困難な時代なのかもしれません。

※ところで、「足をすくう」という慣用句ですが、多くの人が「足元をすくう(すくわれる)」といった誤用をしていることがよく話題に取り上げられます。先日も、知的な雰囲気で人気の某有名女優が、テレビで「足元をすくわれないように頑張ります」と話していたのが印象的でした。

完全に余談ですが。
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