足し算だけでなく、引き算も考える

何かうまくいかない時や、不調がある時というのは、当然のことながら何かしら対策を考えます。

この時、人はとかく、足し算で物事を考えてしまうものです。

要するに、今の状態に対してさらに、次から次へと、あれやこれや別の対策を被せていく訳です。すなわち、「プラスの施策」を講じるということです。

その結果、混乱して事態がより悪化したり、いわゆる「つぎはぎ状態」で整理がつかなくなったり、仮に効果が生じて状態が上向いても、実際にどの施策が効いたのか分からなかったり…。

これを、引き算で考えてみると、すんなりうまくいくことがあります。

つまり、今やっていることをやめてみるとか、減らしてみるとか、なくすとか、「マイナスの施策」を打ってみるということです。

引き算思考で別の発想を

例えば、あなたが睡眠不足で毎日悩まされているとします。

普通に考えたら、もっと寝よう、睡眠時間を増やそう、と考えますよね。

それは当然ですし、決してそれが悪いという訳ではないのですが、もし実際にはなかなか(睡眠時間を増やすことが)叶わないというのであれば、「睡眠時間を増やす」のではなく、「睡眠不足をなくす」という思考の転換もあるのではないか、ということです。

そうすると、じゃあ(睡眠時間は変わらずとも)睡眠の質を高める努力をしてみようとか、日中に疲れを癒すような活動をしてみようとか、何かしら別の発想が生まれてくるはずなのです。

そして結果、それがうまくいくことも多いものです。

※参考
→「起業家は睡眠をあなどることなかれ

事業における引き算の考え方

さて、足し算だけでなく引き算で考えてみる、すなわち、「プラスの施策」だけでなく「マイナスの施策」を講じてみるといった考え方は、起業して、事業がなかなか軌道に乗らなかったり、思うような収支が得られなかったりといった場合でも、極めて有効です。

例えば、事業を行っていると、得てして売上を増やすことだけに思考が集中しがちですが、これをコストを削減するという方向にシフトしてみるのです。

それで売上が変わらなければ、結果、利益は増加するということになります。

そんなの当たり前じゃないかと思われる方も多いかもしれませんが、実はこの「コストを削減する」というのは、一般的に考えられているよりも非常に効果の大きい、事業を進める上で極めて有効な策なのです。

売上を100万円増やすことと、コストを100万円減らすことは、結局同じことであると考えている人があまりにも多いのですが、両者は明確に違います。

収支を考える上で、後者のほうが、何倍も効果のあることなのです。

例えば、利益率が10%の事業を行っている場合を考えてみます。

その状況で、あなたが経費として10万円を、飲み代で使ったとします。

当然ながら、単純に利益が10万円減ってしまうことになりますが、ではこの時、利益を減らさないためには、どうしたらいいのでしょうか。

10万円の利益に対する売上、すなわち、利益率が10%なので、100万円の売上を追加で計上しなければならないのです。

つまり、あなたの10万円の飲み代は、利益率10%の世界においては、100万円の売上に匹敵するのです。

売上を100万円増やすことと、飲み代の10万円を減らすことと、どちらが簡単でしょうか。

言わずもがな、ですよね。

すなわち、コストの削減は、そのままストレートに利益に反映されるのです。

そして多くの場合、売り上げを増加させるより、コストを削減することのほうが、圧倒的に労力がかからないのです。

少し話が長くなってしまいましたが、これが事業における引き算、すなわち「マイナスの施策」の代表的な考え方といっていいでしょう。

要は思考の柔軟性と発想の転換

実は、やめるとか、減らすとか、なくすとかいった、引き算(マイナスの施策)というのは、基本的に手軽に出来て、お金もかからないことが多いのです。

それ故、経済的な観点から考えてみれば、そればかりやられていては経済が活性化しない(企業としては商売にならない)ので、一般的にあまり大っぴらに謳われることがありません。

リストラなどに代表されるように、マイナスの施策には何かと負のイメージが付きまとうことも多いのです。

※ところで、あくまで考え方の話ですので、当ページにリストラを推奨するような意図は全くないということは、どうかご理解ください。

つまり大っぴらに謳われるのは、概して足し算(プラスの施策)のほう。

こうやって策を打ってください、こうなったらさらにこうしてください、と煽って、お金を使わせるという訳です(笑)。

そんな風潮にも惑わされることなく、足し算のみならず引き算で策を考えてみる

起業家として成功するためには、そういった思考の柔軟性発想の転換も、必要になってくるのかもしれませんね。

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